糖尿病性網膜症で障害年金をもらう方法
眼の障害

糖尿病性網膜症とは、糖尿病が原因によって目の網膜と呼ばれる部位の毛細血管が傷ついてしまう病気です。
毛細血管が変形や閉塞・出血してしまい、成人の失明原因で第2位になっている病気です。
【もくじ】
糖尿病性網膜症は障害年金の対象です
◇糖尿病性網膜症の原因
糖尿病性網膜症は、糖尿病の合併症です。
糖尿病を発症してから数年~数十年で発症することが多いといわれています。
糖尿病性網膜症の原因としては、長期間の高血糖状態によって、目の網膜の毛細血管が傷害されてしまうことがあげられます。
糖尿病では糖質の代謝異常がみられるのですが、組織に糖質を取り込めないので血液の中の糖質が多くなるというわけです。
高血糖の状態が長く続くと、毛細血管などの小さな血管から傷害されていってしまいます。
特に目の網膜は小さく細かい血管がたくさんあるので、糖尿病では侵されやすい部位になります。
糖尿病性網膜症は、糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症と並んで糖尿病の3大合併症といわれているほどです。
◇糖尿病性網膜症の症状
糖尿病性網膜症は、進行の具合によって3段階に分類できます。
初期の単純網膜症のステージでは、自覚症状はみられません。目の中では小さな出血や毛細血管のコブができているのですが、視力の低下もなく普通に生活が送れます。
中期の前増殖網膜症のステージでは、自覚症状がみられない人もいれば目がかすむような自覚症状を覚える人もいます。
網膜の毛細血管は確実に障害されており、血流の低下や酸素不足が起こっています。
終期の増殖網膜症のステージになると、視野が狭くなったり、急激に視力が低下したりします。
また、飛蚊症(視界に常に黒く小さなものが飛んでいるように見える症状)を伴うこともあります。
血流の低下や酸素不足に陥った網膜では、新生血管と呼ばれる非常に脆弱な毛細血管が発生するのです。
この新生血管は血圧の上昇などの刺激で破綻しやすく、大量出血すると最悪の場合失明してしまいます。
◇糖尿病性網膜症の予後
糖尿病性網膜症は成人の失明原因第2位の病気です。
したがって、早期発見を行って血糖値や血圧をコントロールし、激しい運動は行なわないなどの生活習慣の改善が必要です。
特に、息をこらえて力むなどの行為は血圧が上がりやすく、網膜の新生血管を破綻させてしまうので注意しましょう。
SANTEN ホームページ
https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/library/diabetic_retinopathy/
ドクターズファイル
https://doctorsfile.jp/medication/218/
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
障害基礎年金 | 【対象】 ・初診日が国民年金加入期間の方 ・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方 ・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要 ・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 972,250円 2級 777,800円 その他、子の加算あり |
障害厚生年金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級 2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級 3級 報酬比例の年金額(最低保障583,400円) その他、1,2級は配偶者の加算あり |
障害手当金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 ・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること ・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと ・障害等級表に定める障害の状態であること 【支給額】参考:障害年金の金額 報酬比例の年金額×2(最低保障1,166,800円) |
緑内障の障害年金認定基準
緑内障の主な症状として、「視力の低下」と「視野の欠損」が挙げられます。
これらの障害が併存する場合は、併合認定といって、それぞれの障害の程度を併せて判定を行います。
視力・視野の障害について、それぞれの基準と併合判定の方法をご確認ください。
◇認定基準
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 【視力】・両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの ・一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの 【視野】・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4 視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ I/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの |
2級 | 【視力】両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの 【視野】・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80 度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの |
3級 | 【視力】両眼の視力がそれぞれ0.1以下に減じたもの 【視野】・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下に減じたもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下に減じたもの |
障害手当金 | 【視力】・両眼の視力がそれぞれ0.6以下に減じたもの ・一眼の視力が0.1以下に減じたもの 【視野】・両眼による視野が2分の1以上欠損したもの ・ゴールドマン型視野計による測定の結果、I/2視標による両眼中心視野角度が56度以下に減じたもの ・自動視野計による測定の結果、両眼中心視野視認点数が40点以下に減じたもの 【その他】・両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの ・両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの ※下記「まぶたの運動障害等について」参照 |
□視力の障害
視力の障害については、認定基準内にその数値が表記されています。
「両眼の視力」とは・・
それぞれの視力を別々に測定した数値です。
□視野の障害
ゴールドマン型視野計または自動視野計にて測定
【ゴールドマン型視野計】
周辺視野(Ⅰ/4視標)で測定した「周辺視野角度の和」と、中心視野(Ⅰ/2視標)で測定した「両眼中心視野角度」によって等級判定を行う
【自動視野計】
自動視野計による等級判定では、両眼開放エスターマンテストで測定した「両眼開放視認点数」と、10-2プログラムで測定した「両眼中心視野視認点数」によって判定
□併合認定
各障害について併合判定参考表における該当番号を求めた後、併合認定表による併合番号を求め、障害の程度を認定します。
・併合判定参考表・

・併合加重認定表・


糖尿病性網膜症で障害年金を受給するためのポイント
糖尿病性網膜症で障害年金を請求するには、原因疾病である糖尿病の初診日を証明する必要があります。
先に述べた通り、糖尿病性網膜症は、糖尿病の発病から数年から数十年かけて発症することが多い疾病です。
このため、随分遡って初診日を証明しなければならない場合もあります。
医療機関にカルテが保管されていない可能性もあるため、慎重に手続きを進めてくださいね。
参考記事:初診日ってなに?障害年金の初診日について詳しく解説します
参考記事:障害年金の初診日が証明できない場合はどうしたら良いの?