統合失調症で障害年金をもらう方法
精神の障害
【もくじ】
統合失調症は、幻聴や幻覚や妄想の症状に併せて、感情や意欲、日常生活に関わる行動力の低下により、日常生活を営むことが難しくなる病気です。
病識を持てなくなる症状が継続することが特徴的な精神疾患です。
統合失調症精神病は障害年金の対象です
統合失調症の原因
統合失調症の原因は明らかにされていません。
日常生活における生活環境(対人関係、季節等)の変化、ストレスに対して敏感に感じる、弱い場合は発症するリスクが高くなるとされています。
発症する年代は、10歳代後半から30歳代が多くなります。
男女比では、男性に多く、女性は男性よりも発症年齢は遅くなる傾向があります。
統合失調症の症状
統合失調症の症状として、①~③のように分類することができます。
①~③の症状が約1ヶ月継続していることが、統合失調症の診断基準になっています。
①幻聴・幻覚・妄想(陽性症状)
・幻聴:誰もいないのに人の声が聞こえてくる、ほかの音に混じって声が聞こえてくる
・幻覚: 実際にはないものが見える、匂いがする
・妄想: 明らかに誤った情報を信じ込み、周りの意見を受け入れられなくなる。
②生活障害(陰性症状/認知機能障害)
会話や行動、感情や意欲の行動力の低下により、日常生活に支障が出る状態になる。
③ 病識の障害
①や②の症状が出現している自覚が持てない状態。
治療を継続するなかで、少しずつ自覚を持てるようになる。
治療は抗精神病薬等を用いた薬物療法や日常生活を営むための精神科リハビリテーション(デイケア、作業療法、SST:社会生活機能訓練)、心理療法(カウンセリング)を行います。
統合失調症は再発しやすい精神疾患ですので、治療には長期間の時間が必要になります。
途中で医療機関への受診を中断してしまうと、症状の悪化につながり、予後にも影響してきます。
気長に治療を継続していく意思が大切になります。
統合失調症の予後
統合失調症の予後は、精神症状の治療を継続していきながら、日常生活を営めるように生活リズムを整えていくことが予後を良好にするためには必要になります。
統合失調症による精神症状が継続している場合は、通院医療費公費負担制度による医療費助成だけでなく、障害年金や精神保険福祉手帳の申請が可能です。
厚生労働省 知ることから始めよう みんなのメンタルヘルス
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_into.html
東京都立 松沢病院
https://www.byouin.metro.tokyo.lg.jp/matsuzawa/dictionary/tougousittyousyou.html
大塚製薬株式会社 こころの健康情報局 スマイルナビゲーター
https://www.smilenavigator.jp/tougou/about/
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
障害基礎年金 | 【対象】 ・初診日が国民年金加入期間の方 ・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方 ・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要 ・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 1,020,000円 2級 816,000円 その他、子の加算あり |
障害厚生年金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級 2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級 3級 報酬比例の年金額(最低保障612,000円) その他、1,2級は配偶者の加算あり |
障害手当金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 ・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること ・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと ・障害等級表に定める障害の状態であること 【支給額】参考:障害年金の金額 報酬比例の年金額×2(最低保障1,224,000円) |
統合失調症の障害年金認定基準
統合失調症は、予後不良の場合もあり、障害の状態に該当すると認められるものが多いです。
しかし、罹病後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあり、また、その反面急激に増悪し、その状態を持続することもあります。
したがって、統合失調症として認定を行うものに対しては、発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮することとされています。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 1 統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの 2 気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの |
2級 | 1 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの 2 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの |
3級 | 1 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの 2 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの |
統合失調症で障害年金を受給するためのポイント
統合失調症については、妄想・幻覚などの異常体験や、自閉・感情の平板化・意欲の減退などの陰性症状(残遺症状)の有無を考慮します。
そこで、陰性症状が長期間持続し、自己管理能力や社会的役割遂行能力に著しい制限が認められるかを検討します。
診断書には、妄想・幻覚についての具体的な記載をお願いします。
また、統合失調症等とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定されます。