老年性精神病で障害年金をもらう方法
精神の障害
【もくじ】
老年性精神病とは、高齢者において徘徊・不潔行動・食行動異常・幻覚・妄想・興奮・暴力・性的逸脱行為・自殺企図などがみられる病気の総称です。
診断名に当てはめて考えると、老年性精神病は妄想性障害や統合失調症に近いといわれています。
老年性精神病は障害年金の対象です
老年性精神病の原因
老年性精神病の原因には、脳の老化・身体機能の低下・精神病などさまざまな原因があるといわれています。
なお、幻覚・妄想を主体とした老年性精神病には以下の原因があります。
✔︎身体や脳の病気が要因でせん妄や認知症を発症するもの
✔︎薬物やアルコールを要因として幻覚・妄想が出現するもの
✔︎心理ストレスや環境ストレスによって幻覚・妄想が出現するもの
✔︎若いころから統合失調症を患っている方
ただし、明確な原因を特定できない老年性精神病もあります。
なぜなら、高齢者の方はさまざまな病気や障害を持たれているからです。
そのため身体や脳の病気、薬、ストレスなどと老年性精神病が複雑に絡まりあっている可能性が非常に高いです。
老年性精神病の症状
老年性精神病では、徘徊・不潔行動・食行動異常・幻覚・妄想・興奮・暴力・性的逸脱行為・自殺企図などがみられます。
その中でも幻覚・妄想は最も多い症状です。
幻覚としては幻聴が最も多いです。
「音楽がずっと流れている」「壁や床をたたく音がする」「自分のことを批判する声が聴こえる」などの幻聴内容です。
妄想の内容としては、「家族や介護スタッフに嫌がらせをされる」「自分の家や部屋に侵入者が入る」「物を盗まれた」など被害妄想が多いです。
その他は心気妄想(自分は重大な病気にかかっているなどといった妄想)・嫉妬妄想・誇大妄想(何ごとも大げさに誇張する妄想)がみられます。
老年性精神病における幻覚・妄想は現実的かつ具体的であることが多く、周囲の人も対応に苦慮することが多いようです。
老年性精神病の予後
老年性精神病の完治は難しく、抗精神病薬などの薬物療法で症状をおさえていくことが基本になります。
最近では副作用の少ない薬も多く出てきています。
また、幻覚・妄想に対しては、否定も肯定もしない対応が適切です。
幻覚・妄想の背景にある不安やよりどころのない気持ちに寄り添い共感することが、当事者にとって必要と考えられています。
Medical Note
https://medicalnote.jp/diseases/老年期精神病
杉浦こころのクリニック
https://sugiura-kokoro.com/treat/syoujyou32-2.html
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
障害基礎年金 | 【対象】 ・初診日が国民年金加入期間の方 ・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方 ・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要 ・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 1,020,000円 2級 816,000円 その他、子の加算あり |
障害厚生年金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級 2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級 3級 報酬比例の年金額(最低保障612,000円) その他、1,2級は配偶者の加算あり |
障害手当金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 ・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること ・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと ・障害等級表に定める障害の状態であること 【支給額】参考:障害年金の金額 報酬比例の年金額×2(最低保障1,224,000円) |
老年性精神病の障害年金認定基準
先に述べた通り、老年性精神病の症状として多く挙げられるのは、認知症状及び幻覚・妄想症状です。
ここでは、参考までに「症状性を含む器質性精神障害」と「統合失調症、統合失調型障害及び妄想性障害」の認定基準を確認します。
尚、脳の器質障害については、精神障害と神経障害を区分して考えることは、その多岐にわたる臨床症状から不能であり、原則としてそれらの諸症状を総合して、全体像から総合的に判断して認定することとされています。
症状性を含む器質性精神障害
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの |
2級 | 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの |
3級 | 1 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの 2 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの |
障害手当金 | 認知障害のため、労働が制限を受けるもの |
統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 1 統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの 2 気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの |
2級 | 1 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの 2 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの |
3級 | 1 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの 2 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの |
老年性精神病で障害年金を受給するためのポイント
障害年金は、原則65歳までに障害の状態となり障害年金請求を行った方を対象としています。
老年性というと、80代90代の方を対象としたイメージを持たれるかもしれませんが、世間では「初老期精神病」という言葉が使われることもあります。
定年退職を迎えた方、病気や怪我を患った方など、急に大きく生活環境が変わってしまうことで発病するケースもあるようです。
「歳だから仕方がない・・」と見過ごしてしまわないよう、早めの対応が必要ですね。