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慢性腎不全で障害年金をもらうには

腎臓は血液のろ過・老廃物の除去・血圧の調整・尿の生成などを行なっています。これらの腎臓の機能が数カ月~数年にかけて徐々に低下してしまった状態が慢性腎不全(CKD)です。

早期に治療を行なえば回復する可能性が高いですが、慢性腎不全が進行してしまうと腎臓移植か人工透析が必要になる病気です。

慢性腎不全は障害年金の対象です

慢性腎不全の原因

慢性腎不全は、腎臓の病気の後に発症します。

2つそなわっている腎臓ですが、その両方がやられてしまう病気だと腎不全になりやすいです。

慢性腎不全を引き起こす主な病気としては、糖尿病性腎症・慢性糸球体腎炎(糸球体が炎症することでたんぱく尿や血尿が長期間続く病気)・腎硬化症などがあげられます。

特に最近では、超高齢化社会や生活習慣病の増加によって、糖尿病性腎症や高血圧による腎硬化症が増えてきています。

慢性腎不全の症状

慢性腎不全は、ある日をきっかけに急に症状が出るわけではありません。
ゆっくり進行していき、症状も徐々に出現していきます。

慢性腎不全の初期は、自覚症状はほとんどありません。
例えば、糖尿病性腎症だとは気づかずに普通に生活できることが多いのです。

慢性腎不全が進行していくと、徐々に症状が出現しはじめます。
主な症状は尿が出にくくなることです。

これは腎臓で老廃物の除去や尿の生成ができなくなるからです。
他には足のむくみ・息切れ・胸の痛み・食欲の低下などが起こります。
さらに重度になってくると、尿はほとんど出ず、息切れなどの心不全症状が顕著にあらわれます。

また、尿毒症とも呼ばれる症状が出現し、吐き気がしたりかゆみが止まらなかったり、手足がしびれてきたりします。
ここまでくると腎臓移植や人工透析が必要な状態です。

慢性腎不全の予後

一度悪くなった腎臓は良くならないため、残った腎機能を維持したり人工透析への移行を遅らせたりする治療が行なわれます。

食事療法(塩分・タンパク質制限)、薬物治療などが行なわれることが多いです。

また、身体機能が低下しないようにリハビリテーションが行なわれることもあります。

慢性腎不全は障害年金の対象です

腎疾患による障害年金の対象は、ほとんどが慢性腎不全に対する認定です。

慢性腎炎などの腎疾患による障害の程度は、自覚症状や検査成績、人工透析療法の実施状況などを総合的に判断し認定されます。

令別表障害の程度障害の状態
国年令別表1級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
厚年令別表第13級身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

細田多穂:シンプル理学療法シリーズ内部障害理学療法学、(株)南江堂、2017

北村諭:コメディカルのための専門基礎分野テキスト内科学、(株)中外医薬社、2016

障害年金とは?

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。

障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。

障害基礎年金【対象】
・初診日が国民年金加入期間の方
・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方
・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く
【要件】参考:クリアすべき要件
・保険料の納付要件を満たしていること
・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要
・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること
【支給額】参考:障害年金の金額
1級 1,020,000円
2級 816,000円
その他、子の加算あり
障害厚生年金【対象】
・初診日が厚生年金保険加入期間の方
【要件】参考:クリアすべき要件
・保険料の納付要件を満たしていること
・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること
【支給額】参考:障害年金の金額
1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級
2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級
3級 報酬比例の年金額(最低保障612,000円)
その他、1,2級は配偶者の加算あり
障害手当金【対象】
・初診日が厚生年金保険加入期間の方
・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く
【要件】参考:クリアすべき要件
・保険料の納付要件を満たしていること
・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること
・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと
・障害等級表に定める障害の状態であること
【支給額】参考:障害年金の金額
報酬比例の年金額×2(最低保障1,224,000円)

   

慢性腎不全の障害年金認定基準

腎疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病 状の経過、人工透析療法の実施状況、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定されます。

慢性腎不全の検査異常値の一部を示すと・・

区分検査項目単位軽度異常中等度異常高度異常
内因性クレアチニンクリアランスml/分20以上30未満10以上20未満10未満
血清クレアチニンmg/dl3以上5未満5以上8未満8以上

  

障害の状態を一般状態区分表で示すと・・

区分一般状態
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

  

慢性腎不全で各等級に相当すると認められるものを一部例示すると・・

障害の程度障害の状態
1級検査成績が高度異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの
2級1.検査成績が中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの
2.人工透析法施行中のもの
3級検査成績が軽度、中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
日本年金機構H Pより:https://www.nenkin.go.jp/index.html

 

腎臓移植の取扱い

腎臓移植を受けた場合の障害認定に当たっては、術後の症状、治療経過、検査成績及び予後等を十分に考慮して総合的に認定します。

既に障害年金を受給されている方が腎臓移植を受けた場合は、臓器が生着し、安定的に機能するまでの間を考慮して術後1年間は従前の等級のまま支給されます。

慢性腎不全で障害年金を受給するためのポイント

腎疾患は、その原因疾患が多岐にわたり、それによって生じる臨床所見、検査所見も様々です。

また、検査成績によるほか合併症の有無とその程度など、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して総合的に認定されるため、診断書の内容は必ずご自身でチェックしてください。

特に下図の項目は記入漏れや症状に見合わない内容が多いです。
年金事務所に何度も出直すことのないように、事前にきちんと確認してくださいね。

日本年金機構H Pより:https://www.nenkin.go.jp/index.html

  

まとめ

慢性腎不全で障害年金をもらう方法についてお伝えしました。

ご本人が抱える自覚症状や辛さは、主治医にきちんと伝わっていますか?
診断書の内容は、専門用語ばかりではありません。
提出する前に、きちんと内容を確認してくださいね。

ぜひこの記事で、障害年金を受給する方法やポイントを知っていただければと思います。

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