慢性腎炎で障害年金をもらうには
腎疾患による障害
【もくじ】

慢性腎炎とは、糸球体という血液をろ過して尿の生成を行なっている組織が慢性的に炎症し続ける病気です。
さまざまな病型があり、タンパク尿・血尿・高血圧などが1年以上みられます。
その他にも、むくみ・からだの重だるさ・肩こり・頭痛などが生じることもあります。
慢性腎炎は障害年金の対象です
◇慢性腎炎の原因
慢性腎炎にはさまざまな病型があります。
・微小変化型:急激に発症してむくみが高度であるもの
・膜性腎炎:徐々にむくみが強くなっていくもの
・IgA腎症:血尿がみられるもの
・膜性増殖性腎炎/巣状糸球体硬化症:進行が速いもの
・膜性増殖性腎炎:進行が遅いもの
・微小変化型/IgA腎症:進行することが少ないもの
などに分類されます。
急性の腎炎が慢性化したり、自己免疫疾患が関わったりするなどさまざまで、原因不明の場合もあります。
◇慢性腎炎の症状
腎臓は「沈黙の臓器」といわれるほど、自覚症状が出にくいことで有名です。
突然前触れもなく発症し、気づいたときには腎不全に移行していることがあります。
タンパク尿・血尿・高血圧などが1年以上みられ、その他にもむくみ・からだの重だるさ・肩こり・頭痛などが生じることもあります。
学校や職場での尿検査で発覚することの多い病気です。
◇慢性腎炎の予後
治療法は今のところなく、完治の難しい病気です。
治療としては、タンパク尿や血尿を防ぎ、腎不全に移行しないようにすることが目標となります。
基本的には、薬物療法や食事療法(タンパク質や食塩の摂取制限など)などが主体となり、軽症の場合は経過観察となる場合があります。
一部の慢性腎炎には、ステロイド剤や免疫抑制剤が有効となる場合もあります。
いずれにしても、血圧のコントロールや体重の管理など生活習慣の見直しも必要です。
◇慢性腎炎は障害年金の対象です
腎疾患による障害年金の対象は、ほとんどが慢性腎不全に対する認定です。
腎機能障害が持続的に徐々に進行し、生体が正常に維持できなくなった状態をいいます。
慢性腎炎などの腎疾患による障害の程度は、自覚症状や検査成績、人工透析療法の実施状況などを総合的に判断し認定されます。

北村諭:コメディカルのための専門基礎分野テキスト内科学第5版、(株)中外医学社、2016
https://doctorsfile.jp/medication/306/
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
障害基礎年金 | 【対象】 ・初診日が国民年金加入期間の方 ・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方 ・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要 ・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 972,250円 2級 777,800円 その他、子の加算あり |
障害厚生年金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級 2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級 3級 報酬比例の年金額(最低保障583,400円) その他、1,2級は配偶者の加算あり |
障害手当金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 ・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること ・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと ・障害等級表に定める障害の状態であること 【支給額】参考:障害年金の金額 報酬比例の年金額×2(最低保障1,166,800円) |
慢性腎炎の障害年金認定基準
腎疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病 状の経過、人工透析療法の実施状況、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定されます。
慢性腎不全の検査異常値の一部を示すと・・

障害の状態を一般状態区分表で示すと・・

慢性腎不全で各等級に相当すると認められるものを一部例示すると・・
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 検査成績が高度異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの |
2級 | 1.検査成績が中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの 2.人工透析法施行中のもの |
3級 | 検査成績が軽度、中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの |
慢性腎炎で障害年金を受給するためのポイント
腎疾患は、その原因疾患が多岐にわたり、それによって生じる臨床所見、検査所見も様々です。
また、検査成績によるほか合併症の有無とその程度など、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して総合的に認定されるため、診断書の内容は必ずご自身でチェックしてください。
特に下図の項目は記入漏れや症状に見合わない内容が多いです。
年金事務所に何度も出直すことのないように、事前にきちんと確認してくださいね。

まとめ
慢性腎炎で障害年金をもらう方法についてお伝えしました。
ご本人が抱える自覚症状や辛さは、主治医にきちんと伝わっていますか?
診断書の内容は、専門用語ばかりではありません。
提出する前に、きちんと内容を確認してくださいね。
ぜひこの記事で、障害年金を受給する方法やポイントを知っていただければと思います。