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慢性腎炎で障害年金をもらうには

慢性腎炎とは、糸球体という血液をろ過して尿の生成を行なっている組織が慢性的に炎症し続ける病気です。
さまざまな病型があり、タンパク尿・血尿・高血圧などが1年以上みられます。
その他にも、むくみ・からだの重だるさ・肩こり・頭痛などが生じることもあります。

慢性腎炎は障害年金の対象です

慢性腎炎の原因

慢性腎炎にはさまざまな病型があります。

・微小変化型:急激に発症してむくみが高度であるもの
・膜性腎炎:徐々にむくみが強くなっていくもの
・IgA腎症:血尿がみられるもの
・膜性増殖性腎炎/巣状糸球体硬化症:進行が速いもの
・膜性増殖性腎炎:進行が遅いもの
・微小変化型/IgA腎症:進行することが少ないもの

などに分類されます。

急性の腎炎が慢性化したり、自己免疫疾患が関わったりするなどさまざまで、原因不明の場合もあります。

慢性腎炎の症状

腎臓は「沈黙の臓器」といわれるほど、自覚症状が出にくいことで有名です。
突然前触れもなく発症し、気づいたときには腎不全に移行していることがあります。

タンパク尿・血尿・高血圧などが1年以上みられ、その他にもむくみ・からだの重だるさ・肩こり・頭痛などが生じることもあります。
学校や職場での尿検査で発覚することの多い病気です。

慢性腎炎の予後

治療法は今のところなく、完治の難しい病気です。

治療としては、タンパク尿や血尿を防ぎ、腎不全に移行しないようにすることが目標となります。
基本的には、薬物療法や食事療法(タンパク質や食塩の摂取制限など)などが主体となり、軽症の場合は経過観察となる場合があります。
一部の慢性腎炎には、ステロイド剤や免疫抑制剤が有効となる場合もあります。

いずれにしても、血圧のコントロールや体重の管理など生活習慣の見直しも必要です。

慢性腎炎は障害年金の対象です

腎疾患による障害年金の対象は、ほとんどが慢性腎不全に対する認定です。
腎機能障害が持続的に徐々に進行し、生体が正常に維持できなくなった状態をいいます。

慢性腎炎などの腎疾患による障害の程度は、自覚症状や検査成績、人工透析療法の実施状況などを総合的に判断し認定されます。

令別表障害の程度障害の状態
国年令別表1級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
厚年令別表第13級身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

北村諭:コメディカルのための専門基礎分野テキスト内科学第5版、(株)中外医学社、2016

https://doctorsfile.jp/medication/306/

障害年金とは?

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。

障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。

障害基礎年金【対象】
・初診日が国民年金加入期間の方
・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方
・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く
【要件】参考:クリアすべき要件
・保険料の納付要件を満たしていること
・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要
・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること
【支給額】参考:障害年金の金額
1級 1,020,000円
2級 816,000円
その他、子の加算あり
障害厚生年金【対象】
・初診日が厚生年金保険加入期間の方
【要件】参考:クリアすべき要件
・保険料の納付要件を満たしていること
・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること
【支給額】参考:障害年金の金額
1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級
2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級
3級 報酬比例の年金額(最低保障612,000円)
その他、1,2級は配偶者の加算あり
障害手当金【対象】
・初診日が厚生年金保険加入期間の方
・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く
【要件】参考:クリアすべき要件
・保険料の納付要件を満たしていること
・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること
・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと
・障害等級表に定める障害の状態であること
【支給額】参考:障害年金の金額
報酬比例の年金額×2(最低保障1,224,000円)

   

慢性腎炎の障害年金認定基準

腎疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病 状の経過、人工透析療法の実施状況、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定されます。

慢性腎不全の検査異常値の一部を示すと・・

区分検査項目単位軽度異常中等度異常高度異常
内因性クレアチニンクリアランスml/分20以上30未満10以上20未満10未満
血清クレアチニンmg/dl3以上5未満5以上8未満8以上

  

障害の状態を一般状態区分表で示すと・・

区分一般状態
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

  

慢性腎不全で各等級に相当すると認められるものを一部例示すると・・

障害の程度障害の状態
1級検査成績が高度異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの
2級1.検査成績が中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの
2.人工透析法施行中のもの
3級検査成績が軽度、中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
日本年金機構H Pより:https://www.nenkin.go.jp/index.html

  

慢性腎炎で障害年金を受給するためのポイント

腎疾患は、その原因疾患が多岐にわたり、それによって生じる臨床所見、検査所見も様々です。

また、検査成績によるほか合併症の有無とその程度など、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して総合的に認定されるため、診断書の内容は必ずご自身でチェックしてください。

特に下図の項目は記入漏れや症状に見合わない内容が多いです。
年金事務所に何度も出直すことのないように、事前にきちんと確認してくださいね。

日本年金機構H Pより:https://www.nenkin.go.jp/index.html

  

まとめ

慢性腎炎で障害年金をもらう方法についてお伝えしました。

ご本人が抱える自覚症状や辛さは、主治医にきちんと伝わっていますか?
診断書の内容は、専門用語ばかりではありません。
提出する前に、きちんと内容を確認してくださいね。

ぜひこの記事で、障害年金を受給する方法やポイントを知っていただければと思います。

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