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軽度知的障害で他の精神疾患を併発し障害基礎年金2級に認められた事例

 

1.傷病名・決定内容

◇ 軽度知的障害・広汎性発達障害

◇ 障害基礎年金2級

 

2.ご依頼の経緯

相談支援専門員さんからご相談いただいた案件です。

ご本人は、幼少期から学習の遅れが目立ち運動も苦手でしたが、小中は普通学級を卒業し、普通高校に進学しました。しかし、入学後すぐに退学せざるを得なくなりました。

その後知的障害が認められ、療育手帳を取得しましたが、日常生活面では相当な困難をきたしていたため、障害年金受給を希望することとなりました。

しかし、療育手帳の判定結果は「軽度知的障害(IQ50以上)」であり、「軽度」の場合は障害年金の申請が難しいとされることもあって、ご相談いただいた次第です。

 

3.請求のポイント

3-1.軽度知的障害の方の壁

知的障害の方は、IQ50未満のいわゆる中等度以上の方であれば、障害年金は比較的通りやすいといわれます。

まず、中等度以上の方は、判定機関(中央児童障害者相談センターなど)で障害年金用の診断書を書いてもらうことができます。

一方、軽度の方は、判定機関では診断書を作成してもらえないことが多く、その背景には、「軽度の方は障害年金が通りにくい」という事情が絡んでいるように思います。

なお、障害認定基準上は「知能指数のみに着眼せず総合的に判断する」との文言が書かれてはいます。

いずれにせよ、今回は、判定機関での診断書の作成は難しかったため、診断書を書いてもらえる医療機関を自分たちで探すことになりました。

 

《補足:知的障害の方の障害年金申請について》

知的障害は、知的機能の制約が発達期(18歳未満)にあらわれ、日常生活にも支障が出る障害です。

各自治体の児童相談所や知的障害者更生相談所において、IQ(おおよそ70以下)と日常生活能力を勘案し、知的障害と認められると、療育手帳が交付されます。知的障害の程度は、最重度・重度・中度・軽度に分かれます。

なお、療育手帳を取得すると様々な福祉サービスを受けられますが、障害年金を受けるには別途申請が必要です。

療養手帳と障害年金はまったく別の制度なので、療養手帳があってもなくても障害年金の申請はできます。

とはいえ、療養手帳があり障害の程度が重い方が、申請書を書きやすい面はあるでしょう。

ジョブサU18 より:https://www.jobsa-u18.jp/dd/difference 

 

3-2.どこの医療機関を受診すれば良いの

今回の場合、判定機関で知的障害の判定を受けましたが、障害のことで医療機関を受診したことはありませんでした。
そのため、障害年金用の診断書を書いてくれる主治医を探さねばなりません。

相談支援専門員さんの計らいで、あるメンタルクリニックを受診したところ、知的障害のほか発達障害があるとの所見で、広汎性発達障害の診断名により、受診を開始しました。

 

《補足:知的障害と広汎性発達障害の関係について》

「広汎性発達障害」は、興味や行動に偏りが見られ、対人関係やコミュニケーションに困難を伴う障害で、発達障害の一つです。

発達障害は主に3つに分けられ、広汎性発達障害の他、「注意欠陥多動性障害(AD/HD)」「学習障害(LD)」があります。

発達障害は、主に、知的能力に制約がないが脳機能に偏りがある、という場合に診断されます。

しかし線引きは難しく、発達障害と十分に診断できるものの、軽度の知的障害が見られる場合もあります。

発達障害の中で、広汎性発達障害は、「自閉スペクトラム症」とも言われ、一定の幅(スペクトル)の中で、「興味や行動に偏りが見られ、対人関係やコミュニケーションに困難を伴う」という、かつて自閉症といわれた症状が、幅広い知的水準でみられます。

#自閉スペクトラム症は知的障害とは異なりますが、自閉スペクトラム症患者の多くに知的障害が伴っています(#MSDマニュアルより)。

そのため、いわゆる自閉症的症状がみられた場合、知的能力に制約がなければ「発達障害=ASD(アスペルガー障害)」と見なされ、知的能力に制約があれば「知的障害」と見なされることが多いです。

ですので、軽度知的障害で大きな知的制約がない方に、いわゆる自閉症的症状がみられる場合、発達障害と知的障害のどちらを診断名とするのか、あるいは両方の診断名が付くのか、判断が難しいことがあります。

ジョブサU18 より:https://www.jobsa-u18.jp/dd/difference 
NHK健康チャンネル より:https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_346.html

※参考 / MSDマニュアル家庭版 自閉スペクトラム症:
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/

 

3-3.診断書について

メンタルクリニックでは、主に広汎性発達障害の診断名で受診しており、知的障害の部分に関しては、当方で聴取した生育歴やその他の書類をもとに説明させていただき、主治医の判断を仰ぎました。

知能検査については、それを再度行う必要性があまりなく、行っていません。

ちなみに、障害年金の申請は、原則、「初診日から1年6ヶ月を経過した日」以降でないと行えないので、初診日を証明する必要があります。

しかし、知的障害の場合は、「初診日=出生日」となるため、初診日の証明は必要ありません。

 

4.まとめ

今回は、軽度知的障害で他の精神疾患を併発し、障害基礎年金2級に認められた事例を紹介しました。

軽度知的障害の方は、療育手帳を取得することで様々な福祉サービスを受けることができますが、障害年金は受給しにくいといわれます。

しかし、今回のケースのように、軽度知的障害の方も、検査の結果、本件のように他の疾患が確認されたような場合や日常生活能力が著しく低下している場合などは、障害年金を受給できることがあります。

また、軽度知的障害の方の中には、年齢等の関係で、何十年も療育手帳の更新(再判定)を行なっていない方もいらっしゃいます。
その場合、障害年金は受給できないと思っている方も多いかもしれません。

しかし、再び詳しく検査し再判定を行うことで、等級が変更され、障害年金を受給できることもあります。

こうしたケースを見聞きすると、「私にも心当たりがあるけど、難しそう…」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

そんな時は、専門家に相談するのが一番。お近くの社会保険労務士事務所に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

 

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