ぶどう膜炎で障害年金をもらう方法
眼の障害
【もくじ】
ぶどう膜炎とは眼球の内側にある「ぶどう膜」といわれる虹彩、毛様体、脈絡膜とそれに隣接する組織に起きる炎症のことです。
ぶどう膜は目の中でも非常に血管と色素の多い組織で、目を構成する組織として大変重要です。
ぶどう膜炎は障害年金の対象です
ぶどう膜炎の原因
ぶどう膜炎を発症する原因は様々なものがあります。
細菌やウイルス、カビなどの病原菌への感染や、免疫異常が原因となる場合もありますが、30~40%は原因不明です。
病原菌への感染は眼内液を検査して初めて分かることもあります。
また免疫異常を原因とするぶどう膜炎は全体の40%を占めています。
免疫異常の中でも自己免疫性の病気である「ベーチェット病」「サルコイドーシス」「原田病」を原因とするぶどう膜炎は「3大ぶどう膜炎」と呼ばれます。
「ベーチェット病」と「サルコイドーシス」は厚生労働省により特定疾患に認定されています。
この他にも血液疾患や悪性腫瘍などがぶどう膜炎を引き起こす原因になることもあります。
しかし原因不明のぶどう膜炎の場合もあるため、診断の確定は大変難しくなっています。
ぶどう膜炎の症状
ぶどう膜炎の症状は様々ですが、目の充血や痛み、視力の低下や見え方の異変、まぶしさや涙っぽさを感じる、ものが歪んだり小さく見えたりするというのはぶどう膜炎の代表的な自覚症状です。
また、ベーチェット病によるぶどう膜炎の場合は突然視力が低下する発作を繰り返しながら症状が進行します。
発作は短時間で治ることが多いですが、その度に眼球の組織が傷つき視機能が少しずつ低下し失明に至ることもあります。
サルコイドーシスを原因とするぶどう膜炎では、虹彩という眼球組織に肉芽腫が出現します。
また飛蚊症が悪化したり、緑内障や白内障になったりすることもありますが、きちんと治療をすれば失明に至ることはほぼありません。
原田病によるぶどう膜炎では症状が強いと両目に網膜剥離が起こり、治療開始が遅れると再発を繰り返した末に失明してしまう場合もあります。
ぶどう膜炎の予後
ぶどう膜炎は原因によって治療内容と経過が異なります。
治療には炎症を抑えるためにステロイド薬を使用することが多いですが、その使い方は点眼や目への注射、内服や点滴があります。
眼球の前の部分に炎症が起きている場合は点眼や内服による治療が効果的ですが、眼圧の上昇や血糖上昇などの副作用がでることがあるため使用中は定期的に診察や検査を受ける必要があります。
感染によるぶどう膜炎の場合は感染を抑える薬を併用しなければなりません。
緑内障や白内障、網膜剥離などの合併症は起きた場合は目の手術をすることもあります。
ぶどう膜炎の発見時期や治療効果の有無によって予後は様々です。
早期に治る人もいれば、長期間の治療が必要な人もいるため、早期の治療開始が大切です。
公益社団法人 日本眼科医会
https://www.gankaikai.or.jp/health/21/02.html
株式会社 三和化学研究所
https://www.skk-net.com/health/me/c01_19.html#chap1
徳島県医師会
https://www.tokushima.med.or.jp/kenmin/doctorcolumn/hc/196-3612
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
障害基礎年金 | 【対象】 ・初診日が国民年金加入期間の方 ・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方 ・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要 ・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 1,020,000円 2級 816,000円 その他、子の加算あり |
障害厚生年金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級 2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級 3級 報酬比例の年金額(最低保障612,000円) その他、1,2級は配偶者の加算あり |
障害手当金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 ・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること ・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと ・障害等級表に定める障害の状態であること 【支給額】参考:障害年金の金額 報酬比例の年金額×2(最低保障1,224,000円) |
ぶどう膜炎の障害年金認定基準
ぶどう膜炎の主な症状は、視力の低下です。
視力の障害については、認定基準内にその数値が表記されています。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 【視力】・両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの ・一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの 【視野】・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4 視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ I/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの |
2級 | 【視力】・両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの ・一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの 【視野】・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80 度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの ・身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 【視力】両眼の視力がそれぞれ0.1以下に減じたもの 【視野】・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下に減じたもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下に減じたもの |
障害手当金 | 【視力】・両眼の視力がそれぞれ0.6以下に減じたもの ・一眼の視力が0.1以下に減じたもの 【視野】・両眼による視野が2分の1以上欠損したもの ・ゴールドマン型視野計による測定の結果、I/2視標による両眼中心視野角度が56度以下に減じたもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が100点以下に減じたもの ・自動視野計による測定の結果、両眼中心視野視認点数が40点以下に減じたもの 【その他】・両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの ・身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの ・両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
視力障害について
「両眼の視力がそれぞれ◯△以下のもの」とは、視力の良い方の眼の視力が◯△以下のものをいいます。
「一眼の視力が◯△、他眼の視力が手動弁以下のもの」とは、視力の良い方の眼の視力が◯△かつ他方の眼の視力が手動弁以下のものをいいます。
ぶどう膜炎で障害年金を受給するためのポイント
上記の認定基準を見て分かる通り、視力障害は「両眼の視力」が一定程度まで下がることが目安となっています。
片眼の視力低下については3級以下の扱いとなり、初診日が国民年金の方(障害基礎年金の請求対象者)は、障害年金をもらうことが難しくなります。
また、先に述べたとおり、ぶどう膜炎は原因不明の場合が多く、診断名がつくまでに長期間を要するケースがあります。
その場合は、診断名にこだわらず、初診日から1年6ヶ月以上経過しており認定基準に該当する可能性があれば、いつでも障害年金の請求をご検討ください。