網膜脈絡膜萎縮で障害年金をもらう方法
眼の障害
【もくじ】
目の網膜、脈絡膜が正常な状態に比べて萎縮した状態になることで、正常に機能しなくなる疾患です。
自覚症状が出るのが遅い場合が多く、たまたま眼科に診察したことで分かる場合も少なくありません。
網膜脈絡膜萎縮病は進行性のある疾患であるため、症状が悪化を続けていきます。
視力低下を引き起こし、最悪の場合は失明になる可能性があります。
網膜脈絡膜萎縮は障害年金の対象です
網膜脈絡膜萎縮の原因
網膜脈絡膜萎縮は遺伝的な要素が強いとされていますが、近視性による萎縮と他の目の疾患による萎縮があります。
近視性の網膜脈絡膜萎縮は、物を見る中心部である、黄斑に萎縮野範囲が進行しないと、視力の低下という自覚症状が出ません。
そのため、長年に渡り気付かないことも多くあります。
医療機関に受診をすることで初めて気付くという方も少なくありません。
他の目の疾患による萎縮では、萎縮型の加齢黄斑変性によるものがあります。
色の識別能力、視力にとって大切な場所である黄斑(眼底の中心部)での萎縮が始まることで、網脈絡膜萎縮が進行していく場合があります。
萎縮型の加齢黄斑変性によるものは、中高年の年代の人達に起こります。
網膜脈絡膜萎縮の症状
網膜脈絡膜萎縮は、網膜や脈絡膜が正常時と比べて極めて薄い、萎縮した状態になることで機能を維持できない状態になります。
難治性・進行性のため、視力低下にとどまらず、最悪の場合は失明をする可能性があります。
現在時点では萎縮状態を元に戻すという治療方法は確立されていません。
薬物治療に関してもリスクが高いとされており推奨されていません。
国として、治療の調査・研究が続けられています。
難治性・進行性がある状態を遅らせる・抑える治療を継続していくことで進行を遅らせる治療を行なっていくことになります。
網膜脈絡膜萎縮の予後
網膜脈絡膜萎縮は、難治性・進行性がある疾患です。
網膜脈絡膜萎縮が長期間進行することで視力の低下が著しくなり、日常生活に支障が出る状態の場合は、障害年金を受給できる可能性があります。
医療法人社団 東京みどり会 池袋サンシャイン通り眼科診療所
http://www.ikec.jp/mailmag/mailmag-1991/
難病情報センター 網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究
https://www.nanbyou.or.jp/entry/1562
菊池眼科医院 病的近視
https://kikuchieyeclinic.com/highmyopia.html
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
障害基礎年金 | 【対象】 ・初診日が国民年金加入期間の方 ・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方 ・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要 ・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 1,020,000円 2級 816,000円 その他、子の加算あり |
障害厚生年金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級 2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級 3級 報酬比例の年金額(最低保障612,000円) その他、1,2級は配偶者の加算あり |
障害手当金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 ・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること ・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと ・障害等級表に定める障害の状態であること 【支給額】参考:障害年金の金額 報酬比例の年金額×2(最低保障1,224,000円) |
網膜脈絡膜萎縮の障害年金認定基準
網膜脈絡膜萎縮の主な症状は、視力の低下です。
視力の障害については、認定基準内にその数値が表記されています。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 【視力】・両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの ・一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの 【視野】・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4 視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ I/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの |
2級 | 【視力】・両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの ・一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの 【視野】・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80 度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの ・身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 【視力】両眼の視力がそれぞれ0.1以下に減じたもの 【視野】・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下に減じたもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下に減じたもの |
障害手当金 | 【視力】・両眼の視力がそれぞれ0.6以下に減じたもの ・一眼の視力が0.1以下に減じたもの 【視野】・両眼による視野が2分の1以上欠損したもの ・ゴールドマン型視野計による測定の結果、I/2視標による両眼中心視野角度が56度以下に減じたもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が100点以下に減じたもの ・自動視野計による測定の結果、両眼中心視野視認点数が40点以下に減じたもの 【その他】・両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの ・身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの ・両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
視力障害について
「両眼の視力がそれぞれ◯△以下のもの」とは、視力の良い方の眼の視力が◯△以下のものをいいます。
「一眼の視力が◯△、他眼の視力が手動弁以下のもの」とは、視力の良い方の眼の視力が◯△かつ他方の眼の視力が手動弁以下のものをいいます。
網膜脈絡膜萎縮で障害年金を受給するためのポイント
網膜脈絡膜萎縮は、遺伝的な要素が強いとされています。
その場合、症状が出現し初めて医療機関を受診した日(初診日)の特定が難しいケースがあります。
初診日の特定が困難な場合については、こちらの記事をご参照ください。
【参考】障害年金の初診日が証明できない場合はどうしたら良いの?
また、病歴が長い場合は、障害年金請求のタイミングを逃してしまうケースもあります。
こちらの記事で、「事後重症請求」についてご確認ください。
【参考】障害年金をもらうためにクリアしなければならない要件
まとめ
網膜脈絡膜萎縮で障害年金をもらう方法についてお伝えしました。
先に述べた通り、障害年金についての情報を得るタイミングが遅いと、請求することができなくなってしまいます。
ご自身や周囲の方で障害を抱えていらっしゃる方に、早めの情報提供をお願いします。