ネフローゼ症候群で障害年金をもらう方法
腎疾患による障害
【もくじ】
障害年金は、病気やけがで働けなくなったり生活に支障が出た場合にもらえる公的年金です。
ネフローゼ症候群で一定の障害状態にある場合は、障害年金をもらうことができます。
ここでは、ネフローゼ症候群でお困りの方が障害年金をもらう方法について大事なポイントをお伝えします。
ネフローゼ症候群は障害年金の対象です
ネフローゼ症候群は、腎臓内にある糸球体の機能が悪くなり尿にタンパク質が多く出てしまうことで、むくみ(浮腫)が起こる病気です。
血液中のタンパク質が減少すると、血管内への水分の移動が低下し、血管外の水分が増えてむくみを引き起こしてしまいます。
むくみがひどくなると、肺やお腹に水がたまることもあります。
また、血管が詰まる病気や感染症を発症する危険性もあるので、早期の治療が大切です。
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
障害基礎年金 | 【対象】 ・初診日が国民年金加入期間の方 ・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方 ・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要 ・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 1,020,000円 2級 816,000円 その他、子の加算あり |
障害厚生年金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級 2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級 3級 報酬比例の年金額(最低保障612,000円) その他、1,2級は配偶者の加算あり |
障害手当金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 ・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること ・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと ・障害等級表に定める障害の状態であること 【支給額】参考:障害年金の金額 報酬比例の年金額×2(最低保障1,224,000円) |
ネフローゼ症候群の障害年金認定基準
腎疾患による障害については、認定基準が次のように定められています。
令別表 | 障害の程度 | 障害の状態 |
国年令別表 | 1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの | |
厚年令別表第1 | 3級 | 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
ネフローゼ症候群の場合は、認定基準上は3級相当とされています。
認定基準は次の通りです。
①下図の検査成績のうち、尿蛋白量の検査成績が異常を示していて、さらに血清アルブミンまたは血清総蛋白の検査成績のどちらかが異常を示していること
区分 | 検査項目 | 単位 | 異常 |
ア | 尿蛋白量(1日尿蛋白量又は尿蛋白/尿クレアチニン比) | g/日又はg/gCr | 3.5g以上を持続する |
イ | 血清アルブミン(BCG法) | g/dl | 3.0g以下 |
ウ | 血清総蛋白 | g/dl | 6.0g以下 |
②下図の一般状態区分表のイまたはウに当てはまること
区分 | 一般状態 |
ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など |
ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
ネフローゼ症候群は、認定基準上は3級とされていますが、症状によって日常生活に大きな支障がある場合や合併症がある場合、腎不全に進行した場合などは2級以上に認定されることもありますので、お医者様にご自身の体の状態をしっかりと伝えておくことが大切です。
ポイント
障害年金をもらうためには、ご自身の症状や困っていることを診断書で証明しなければなりません。
診断書を書くのはお医者様なので、診断書をお願いする前にご自身の体の状態をしっかりと伝えておく必要があります。
障害年金の申請には、診断書とは別に「病歴・就労状況等申立書」を提出しなければいけません。
この書類は、障害によって仕事や生活にどれだけ支障があるかをご自身で記入する書類です。
お医者様に診断書をお願いするときに、「病歴・就労状況等申立書」を見てもらって自分がどれだけ困っているかを分かってもらうのも一つの方法です。
また、診断書を書いてもらったら、記入漏れがないかをチェックしておいてください。
【 チェックのポイント 】
● ⑧初診日は正しいか(初診日は、ネフローゼ症候群の原因になった病気を初めてお医者様に診てもらった日になります)
● ⑫腎疾患の年月日が記入されているか
● 検査成績は、過去6か月以内の結果を2回分以上記入されているか
● ネフローゼ症候群の原因が糖尿病性腎症の場合は⑭糖尿病の欄も記載
● ⑪一般状態区分表、⑯現症時の日常生活活動能力及び労働能力が、ご自身の体の状態にあっているか
まとめ
ネフローゼ症候群で障害年金をもらうには、初診日、保険料、障害の程度の3つの条件をクリアしなければなりません。
特に障害の程度はご本人でないと分からない事も多いので、ご自身の症状について充分にお医者様伝えることが大切です。