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網膜色素変性症で障害厚生年金2級を受給した事例

 

傷病名・決定内容

◇ 網膜色素変性症

◇ 障害厚生年金2級 

 

ご依頼の経緯

社会保険労務士さん経由でご依頼を頂いた案件です。

ご本人は、10年ほど前から、夜間や暗い室内で物が見えにくくなるなど、少しずつ目の見え方に違和感を覚えるようになりました。

医療機関で詳しく検査を行ったところ、網膜色素変性症との診断を受けました。

次第に視野狭窄の症状が進行し、以前のように働くことができなくなってしまいました。

日常生活に大きな支障が生じ、悩まれていたところ、障害年金制度のことを知り、今回ご相談を頂きました。

すでに発病から何年も経過していましたが、遡って障害年金を請求し受給することができた案件です。

 

請求のポイント

網膜色素変性症の特性

網膜色素変性症は、網膜の光を感じる細胞に異常が生じる病気です。

進行すると視野の狭窄や視力の低下等の症状があらわれ、日常生活に大きな支障が生じることになります。

人によって進行に差があり、数年~数十年かけてゆるやかに進行します。

また人口3000人から8000人に一人の割合で遺伝により発病するといわれ、先天性疾患とされています。

【参考記事】障害年金は何を基準に決めるの?(眼の障害)

 

医療法人藤田眼科より:
https://www.fujitaec.or.jp/ophthalmology/moumakushikiso/index.html

 

初診日の特定は慎重に

網膜色素変性症は、障害年金の対象となる疾患なのですが、障害年金申請の際は、医療機関に初めてかかった日(初診日)において一定の基準を満たしている必要があります。

先定性疾患ではありますが、成人してから発病し医療機関に受診することが多いのが特徴です。

障害年金は、初診日が20歳前で年金制度に未加入の場合や国民年金加入中の場合と、社会人になり厚生年金加入中である場合とでは給付内容が大きく異なります。

厚生年金加入中に発病し受診した場合は、障害厚生年金での申請ができますが、それには、発病時期や初診日をしっかり証明する必要があります。

【参考記事】初診日ってなに?障害年金の初診日について詳しく解説します

初診日の確認は特に慎重に行わなければならない作業となります。

例えば、日本年金機構には、以下のような調査票を添付し、発病時期を明確にする必要があります。

障害年金の初診日に関する調査票:日本年金機構ホームページ
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/shindansho/2018042602.files/5.pdf

また、医療機関に診断書を作成依頼する際も注意が必要です。

医師も限られた時間の中で診察を行うので、内容に齟齬がないように事前に細かい確認が必要になります。

 

≪補足:他の先天性疾患の初診日≫

たとえ先天性疾患で潜在的な発病があったとしても、あくまで初診日は、症状を自覚した時が発病した時となるのです。

網膜色素変性症に限らず、先天性疾患は障害年金の受給の為に慎重に病歴を確認する必要があります。

◆ 先天性股関節脱臼

厚生年金の被保険者期間内または20歳以降になって変形性股関節症が発症してから、初めて医師等の診療を受けた日

◆ 先天性心疾患

病変が著しくなり初めて医師等の診療を受けた日

◆ ポリオ症候群(ポストポリオ)

発症して初めて医師等の診療を受けた日

 

プラスで受給できる加給年金

障害厚生年金を受ける方で配偶者がいる場合、以下の条件を満たせば配偶者加給年金もプラスで受給することができます。

<条件>

・1級か2級に該当する障害厚生年金を受給する方に生計維持されている、65歳未満の配偶者がいる場合
・配偶者の方の収入が850万円未満の場合

例えば、夫が障害厚生年金2級を受給できることになった場合、配偶者である妻がこの加給年金の対象となるので、妻の受給要件を満たせば加給年金が支給されます。

収入の証明をするためには、所得証明書等を手に入れる必要があります。

また、障害が認定された日まで遡って、配偶者の収入が850万円未満だった場合は、過去分も加給年金を請求することができます。

しかし、自治体は過去5年度分までしか保存が義務付けられていないので、それ以前の分の所得証明書が取れない場合があります。

その場合、配偶者所得を証明するには、申し立て等を行う必要があります。

  

まとめ

今回は、先天性疾患による厚生年金2級の受給例をご紹介しました。

初診日が、20歳前の場合と社会人になり厚生年金加入後である場合とでは、給付内容が大きく異なるので、その特定は慎重に行う必要があること、また条件を満たせばプラスで年金が受給できることをご説明しました。

こうした初診日の特定や配偶者の所得証明など、障害年金の申請には、様々な細かい書類を用意する必要があり、そもそも年金制度自体の分かりづらさもあり、ご自身で申請をするのはハードルが高い為、途中で諦めてしまう方もいます。しかし、年金の受給があるとないとでは生活に大きく違いが生まれます。

ぜひ、ご本人でないとできないこと以外は、当事務所で代行致しますのでお気軽にご相談いただければと思います。

 

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