遺族年金を受給している方でも障害年金を申請した方が良い事例
精神の障害
【もくじ】
傷病名・決定内容
◇ 知的障害
◇ 障害基礎年金2級
ご依頼の経緯
相談支援専門員さんからご相談いただいた案件です。
数年前にご主人を亡くし遺族年金を受給されていました。
知的障害を抱える方ですが、今まで障害年金を請求したことはありません。
相談支援担当者さんがご本人と面談したところ、日常生活レベルが著しく低下していると判断。
これを機に療育手帳の再判定を行ったところ、それまで軽度判定でしたが中等度に改定されました。
遺族年金をもらっているが障害年金を請求すべきかとの相談を受けたケースです。
請求のポイント
この方のように既に遺族年金を受給されている方は、「遺族年金があるから」という漠然とした安心感から、あえて障害年金の請求をしないケースが多いと思います。
しかし、年金は年齢とともに変動します。
複数の年金の選択
年金は、1人1年金が原則です。
この方(50代)の場合、障害年金を請求しても、遺族年金と障害年金の両方がもらえるわけではなく、金額が高い方の年金を選択することとなります。
本件も『遺族年金>障害年金』となるため、せっかく申請した障害年金はもらわず、遺族年金を選択することになります。
ここまで聞くと、障害年金の請求はあまり意味がないように思いますよね。
しかし、遺族年金は、ご本人が65歳を迎えると、それまで付いていた加算が無くなりガクンと金額が下がってしまうのです。
そこで、65歳になると、複数の年金受給権がある方にはいろいろな選択肢が与えられます。
例えば、この方は65歳時点で、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族厚生年金の受給権があります。
この場合、『障害基礎年金+遺族厚生年金』という組み合わせで年金をもらうことができるのです。
つまり、この方にとっては「65歳に備え、今はもらわない障害年金の受給権を得ておくこと」に意義があるのです。
「だったら、65歳になってから障害年金の請求をすれば良いんじゃないの?」と思われるかもしれません。
しかし、障害年金は65歳までに請求する必要があるため、65歳になってからでは遅いのです。
療育手帳の更新
療育手帳(地域によって名称が異なる場合あり)は、一般的に18歳までは定期的に面接を行い再判定を実施します。
しかし、18歳以降に一度でも判定を受けている方は、再判定が10年に一度もしくは年齢や等級によっては再判定を行わない扱いとなっている自治体が多いです。
本件のように、あえて手続きをして再判定を受けることで、等級が変わることもあります。
まとめ
遺族年金をもらっている方が65歳になると、「遺族年金が急に少なくなった。何かの間違いではないか?」という問いあわせが増えます。
他にも、「妻が65歳になったら、自分の年金が減った」「特別支給の老齢厚生年金が、65歳から減った」など、65歳がらみの相談は非常に多いです。
減ることを想定して年金をもらう方は、あまり居ないですよね。
でも、年金は65歳でいったんリセットされると思っておいた方が良いと思います。
障害年金をもらっている方でも、『65歳以降の年金』は常に意識しておく必要があります。