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あなたの障害年金は本当に正しい内容ですか?額改定請求で1級に等級変更されたケース

  

1.傷病名・決定内容

◇ 水頭症による四肢麻痺

◇ 障害基礎年金1級

 

2.ご依頼の経緯

相談支援専門員の方からご依頼いただいた案件です。

相談内容は、担当されているAさんの障害年金の障害等級が今の実態に合っていないように感じているとのこと。

Aさんは知的障害を主傷病に障害基礎年金2級を受給されていました。

しかし、水頭症の影響で四肢機能にも相当な困難を生じていたため、額改定請求を行うこととなりました。

  

2-1.Aさんの病歴について

Aさんは生まれつき水頭症を患っていました。

出生時から知的障害と体の麻痺を合併しており、幼少期から障害福祉サービスを活用し、20歳から障害基礎年金2級を受給されていました。

しかし、40歳を過ぎたあたりから四肢機能が著しく低下し、歩行が困難に。

外出時は車椅子を使用することもあるとのこと。

しかし、Aさんの障害年金は、更新不要の永久固定になっており、手続き不要の状態に。

ご両親も「手続き不要ということは、これ以上の障害年金はもらえない」と思っていたところですが、明らかに日常生活の支障度が増していたため、相談員さんを通じて当方にご相談いただきました。

 

3.水頭症とは

脳や脊髄の表面を流れる脳脊髄液の循環や吸収に異常が生じ、脳脊髄液を産生する場である脳室が拡大する病気です。

乳幼児は約1000人に1人の割合で水頭症(脳室に過剰な脳脊髄液が貯留した状態)をもって生まれてきます。

症状には、嘔吐、嗜眠状態、頭痛、頭部肥大などがあり、発作を起こすこともあります。

引用:東海大学医学部脳神経外科ホームページより

引用元:ビーブラウンエースクラップ 「水頭症の特徴と症状」

https://www.bbraun.jp/ja/patient/hydrocephalus/characteristic-and-symptom.html

刈部 博、林 俊澤、亀山 元信、冨永 悌二 「小児水頭症‐病態概念の変遷と治療‐」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcns/25/4/25_300/_article/-char/ja/

  

◇ 水頭症の治療

水頭症のタイプには大きく分けて2種類あり、非交通性水頭症と交通性水頭症に分けられます。

非交通性水頭症は生まれつきの病気によって発症しやすいタイプの水頭症で、交通性水頭症は主に成人に多く見られるタイプの水頭症です。

水頭症は、治療はできますが完治は難しく、生涯にわたる疾患です。

多くの場合はシャントを留置する手術を行うことによって、長期間にわたって症状を緩和することができます。

ただシャント手術で最も問題になるのがシャントの不具合によって起こる合併症であり、短期的、中長期的に患者に様々な症状を引き起こす要因にもなります。

引用:東海大学医学部脳神経外科ホームページより

引用元:松前光紀著「脳腫瘍の理解」クリニカルスタディvol.29,no.14,2008年 メヂカルフレンド社 イラスト:北原 功

http://neurosurgery.med.u-tokai.ac.jp/edemiru/suitou/genin.html

  

4.請求のポイント

4-1.障害年金の更新

本人の障害年金は「永久固定」とされていたため、Aさんは障害年金の見直しの機会を逃していました。

障害年金には有期認定と永久固定があります。

有期認定の場合は定期的に診断書(障害状態確認届)の提出が必要になります。

有期認定は1年から5年の期間で期間の長さは傷病の種類や程度によって異なります。

一方、両目を失明した、手足を切断した、知的障害を患っているなど、今後障害の程度が変わらないことが明らかに分かる場合には永久固定となります。

永久固定の場合、受給決定後に診断書の提出は必要ありませんので、年金証書の次回の診断書提出年月日の欄は「**年**月」と表示されています。

しかし、永久固定の場合も、症状が悪化することは当然あります。

その際は、本ケースのように額改定請求を行うことができます。

 

4-2.複数の合併症

今回、知的障害に肢体の障害を併せる(併合認定を行う)ことで、1級に額改定を行うことができました。

今回のように障害によって症状はひとつとは限りません。

本件のように複数の機能に症状が出現している場合は、掛け合わせることで上位級に改定されることがあります。

【併合認定】
併合認定とは、複数の障害のある方の障害等級をより上位の等級で障害年金を支給するための認定方法のひとつです。

 

4-3.額改定請求

請求時に用いる診断書の様式は、知的障害と肢体不自由で様式が異なります。

※知的障害は精神の診断用(様式第120号の4、肢体不自由の場合は肢体の障害用(様式第120号の3)を用います。

ちなみに、本件の場合、元は同一傷病(因果関係あり)からくるものなので、初診日証明や病歴申立書は添付する必要がありません。

 

5.まとめ

このケースのように、すでに障害年金をもらっている方でも、本当にその内容が症状に見合ったものであるかを見直す必要があります。

特に、永久固定とされている方は、見直すタイミングを逃している可能性が高いです。

本件と似たケースで、知的障害の他にてんかん症状があるにも関わらず、知的障害のみで判断され、永久固定扱いとなっているケースもありました。

この場合、てんかんの症状を併せる(併合認定を行う)ことで1級に等級が上がる可能性があるのです。

その他、何らかの先天的疾患で既に障害基礎年金を受給している方が、社会人になって別疾病を発病した場合も同様です。

先天性疾患と他の因果関係のない別疾病を併せることで、等級が変わるどころか障害基礎年金が障害厚生年金になる可能性もあります。

繰り返しますが、既に障害年金をもらっているからと言って、その内容が正しいものであるかどうかは別問題です。

あなたの障害年金は本当に正しいですか?

 

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