上下肢の離断で障害年金をもらう方法
肢体の障害
【もくじ】
上下肢の離断または切断していることで、日常生活動作に支障をきしている状態です。
上下肢の離断は障害年金の対象です
上下肢の離断の原因
上下肢の離断の原因 として、①先天性、②後天性に大きく二分されます。
①先天性によるもの
・形成不全
妊娠時による形成不全で身体部位を失っている状態で出生し、運動機能を喪失している状態
・機能不全
身体部位は形成されているが、運動機能の喪失や障害が生じている状態
②後天性によるもの
出生後の病気の罹患、事故等による身体部位の離断や切断による運動機能の喪失や障害が生じている状態
上下肢の離断の症状
上下肢の離断により、日常生活動作に支障をきたす運動障害の状態が続きます。
また、上下肢の離断による運動機能障害のほか、他の障害を併発する場合(随伴障害)もあります。
随伴障害の例として以下のような障害、症状があります。
・障害部位の感覚(痛感、温感、寒感等)障害
・体温調節機能の障害
・排尿、排便機能障害
・知的障害
・てんかん発作 等
後天性による場合は、上下肢の離断による運動機能の喪失や障害による心的負担により、精神面で支障をきたす可能性も少なくありません。
日常生活においては、車椅子や義足、義手のように、日常生活動作に支障をきたす運動障害がある身体部位を補う補装具や補助具を使用することが必要になります。
また、日常生活の生活環境を整備し、残存機能を可能な限り活用できるように機能訓練を継続することも大切です。
長野県立総合リハビリテーションセンター
https://www.pref.nagano.lg.jp/rehabili/kose/techo/sanko.html
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害別にみた特徴と雇用上の配慮
https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/guidebook/om5ru8000000p2u7-att/om5ru8000000p3d8.pdf橋本行政書士事務所 交通事故サポートセンター 下肢及び足指の障害
https://secure01.red.shared-server.net/www.toshi-office.com/jiko-11-13kashi.htm#1下肢の欠損 https://secure01.red.shared-server.net/www.toshi-office.com/jiko-11-12joushi.htm#1上肢の欠損
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
障害基礎年金 | 【対象】 ・初診日が国民年金加入期間の方 ・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方 ・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要 ・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 1,020,000円 2級 816,000円 その他、子の加算あり |
障害厚生年金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級 2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級 3級 報酬比例の年金額(最低保障612,000円) その他、1,2級は配偶者の加算あり |
障害手当金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 ・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること ・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと ・障害等級表に定める障害の状態であること 【支給額】参考:障害年金の金額 報酬比例の年金額×2(最低保障1,224,000円) |
上下肢の離断の障害年金認定基準
肢体の障害による障害の程度は、「上肢の障害」、「下肢の障害」、「体幹・脊柱の機能の障害」及び「肢体の機能の障害」に区分されます。
上下肢の離断による障害は、「上肢の障害」及び「下肢の障害」のうち、欠損障害の項目に該当します。
上肢の欠損障害
・等級の目安 ※欠損障害の部分のみ抜粋
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 両上肢のすべての指を欠くもの(以下「両上肢のすべての指を基部から欠き、有効長が0のもの」という。) |
2級 | ・両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの(以下「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を基部から欠き、有効長が0のもの」という。) ・一上肢のすべての指を欠くもの(以下「一上肢のすべての指を基部から欠き、有効長が0のもの」という。) |
3級 | 一上肢のおや指及びひとさし指を失ったもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ一上肢の3指以上を失ったもの(以下「一上肢のおや指及びひとさし指を近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)以上で欠くもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ、一上肢の3指を近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)以上で欠くもの」という。) |
障害手当金 | ・一上肢の2指以上を失ったもの(以下「一上肢の2指以上を近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)以上で欠くもの」という。) ・一上肢のひとさし指を失ったもの(以下「一上肢のひとさし指を近位指節間関節以上で欠くもの」という。) |
「上肢の指を欠くもの」とは、基節骨の基部から欠き、その有効長が0のものをいう。
「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの」とは、必ず両上肢のおや指を基部から欠き、それに加えて、両上肢のひとさし指又は中指を基部から欠くものである。
「指を失ったもの」とは、おや指については指節間関節(IP)、その他の指については近位指節間関節(PIP)以上で欠くものをいう。
なお、いずれも切断又は離断による障害の程度を認定する時期は、原則として、切断又は離断をした日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
ただし、障害手当金を支給すべきときは、創面が治ゆした日とする。
下肢の欠損障害
・等級の目安 ※欠損障害の部分のみ抜粋
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 両下肢を足関節以上で欠くもの |
2級 | ・両下肢のすべての指を欠くもの(以下「両下肢の10趾を中足趾節関節以上で欠くもの」という。) ・一下肢を足関節以上で欠くもの |
3級 | 一下肢をリスフラン関節以上で失ったもの |
障害手当金 | 一下肢の第1趾又は他の4趾以上を失ったもの(以下「一下肢の第1趾又は他の4趾を中足趾節関節以上で欠くもの」という。) |
「足関節以上で欠くもの」とは、ショパール関節以上で欠くものをいう。
「趾を欠くもの」とは、中足趾節関節(MP)から欠くものをいう。
なお、いずれも切断又は離断による障害の程度を認定する時期は、原則として、切断又は離断をした日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
ただし、障害手当金を支給すべきときは、創面が治ゆした日とする。
上下肢の離断で障害年金を受給するためのポイント
上下肢の離断による障害を持つ方は、障害者手帳を取得されている方が多いです。
そこで注意したいのが、身体障害者手帳の基準と障害年金の基準は違うということです。
例えば、障害状態が「両上肢のすべての指を欠くもの」である場合、身体障害者手帳が2級なのに対し、障害年金は1級と定められています。
『手帳の等級が低いから障害年金はもらえないだろう』という思い込みは、大変危険です。
また、20歳前の事故によって手指を失った方で、60歳まで障害年金の請求をしていなかったケースもありました。
傷口が治り(創面の治癒)、症状が固定した後は通院することもないため、障害年金などの情報を得るタイミングを逃してしまったことが原因と思われます。
ご家族や友人の方で、障害年金がもらえるのでは?と思い当たる方がみえましたら、情報を共有してくださいね。