初老期(老年)認知症で障害年金をもらう方法
精神の障害
【もくじ】
初老期認知症は最近では軽度認知障害(MCI)と呼ばれ、治る可能性のある認知症です。
老年期認知症は、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症の3つに分類され、それぞれ特徴的な症状が出現します。
3つとも治りにくく徐々に進行していく病気です。
初老期(老年)認知症は障害年金の対象です
初老期(老年)認知症の原因
初老期認知症やアルツハイマー型認知症、前頭側頭型認知症は、脳の中に老人斑という物質がたまって神経原線維変化が起こり、脳が委縮していくことが原因です。
一方、レビー小体型認知症は脳の中にレビー小体という物質がたまることによって、脳の神経細胞が消滅していくことが原因です。
老人斑やレビー小体は健康な人も持っているものですが、睡眠や運動によってうまく除去されています。
しかし、何らかの理由で老人斑やレビー小体が過剰に生成され、脳の中にたまってしまうと認知症を引き起こします。
初老期(老年)認知症の症状
初老期認知症やアルツハイマー型認知症では物忘れや記憶力の低下が目立ち、その症状はゆっくりと進行していきます。
道に迷ったり、新しいことを覚えるのができなくなったりするのも初老期認知症やアルツハイマー型認知症の症状です。
前頭側頭型認知症では性格の変化が目立ち、自分勝手で無配慮になって反社会的行動を示すことがあります。
また、意欲が低下したり無気力な状態が続いたりすることもあります。
なお、レビー小体型認知症では幻覚や幻聴がみられ、パーキンソニズムという症状が出るのが特徴です。
パーキンソニズムとは、うまく運動ができなくなる症状です。すべての動作がゆっくりになって、時には動けなくなることもあります。
歩行も特徴的で、前かがみになって小刻み歩行になり、転倒する頻度が高くなります。
初老期(老年)認知症の予後
初老期認知症は、早期発見をして適切な治療を受ければ予後良好といわれています。
一方、他のアルツハイマー型認知症・前頭側頭型認知症・レビー小体型認知症は予後不良で、ゆっくりと症状が進行していきます。
症状を抑えたり進行の速度を遅らせたりする薬を使用した薬物療法が中心となります。
馬場元毅:絵でみる脳と神経―しくみと障害のメカニズム―、(株)医学書院、2015
古川哲雄・三苫博:クリニカルアイ神経内科、(株)医学評論社、2007
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
障害基礎年金 | 【対象】 ・初診日が国民年金加入期間の方 ・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方 ・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要 ・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 1,020,000円 2級 816,000円 その他、子の加算あり |
障害厚生年金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級 2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級 3級 報酬比例の年金額(最低保障612,000円) その他、1,2級は配偶者の加算あり |
障害手当金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 ・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること ・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと ・障害等級表に定める障害の状態であること 【支給額】参考:障害年金の金額 報酬比例の年金額×2(最低保障1,224,000円) |
初老期(老年)認知症の障害年金認定基準
認知症の症状については、「症状性を含む器質性精神障害」の認定基準をご参照ください。
脳の器質障害については、精神障害と神経障害を区分して考えることは、その多岐にわたる臨床症状から不能であり、原則としてそれらの諸症状を総合して、全体像から総合的に判断して認定することとされています。
症状性を含む器質性精神障害
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの |
2級 | 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの |
3級 | 1 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの 2 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの |
障害手当金 | 認知障害のため、労働が制限を受けるもの |
初老期(老年)認知症で障害年金を受給するためのポイント
障害年金は、原則65歳までに障害の状態となり医療機関を受診する必要があります。
40代50代で発病した場合、仕事をしている世代でもあり、仕事がうまくこなせないことからきわめて早期に異常に気が付かれることもあるかと思います。
しかし、異常を感じてもなかなか受診に踏み切れない、本人は自覚が乏しく受診に対して拒否的になることもあるようです。
診断が遅れてよいことはなにもありません。
ご家族などの計らいにより「検診を受ける」などと理由をつけ、まずは何とか受診に繋げることが重要です。