眼球萎縮で障害年金をもらう方法
眼の障害
【もくじ】
眼球萎縮とは眼球やその中の組織が徐々に縮んでしまう病気です。
眼球が萎縮すると、正常に眼球を動かせなくなったり視力が著しく低下したりします。症状が進行すると失明してしまったり、外観に支障をきたしたりする場合もあります。
眼球萎縮は障害年金の対象です
眼球萎縮の原因
眼球萎縮には様々な原因が考えられています。
まず、ぶどう膜炎や網膜剥離などの病気の治療が遅れたことによって、眼球の内部組織に大きな障害が起こり、眼球の本体と硝子体が縮んでしまうことが原因のひとつとして挙げられます。
これらの病気を原因とする以外にも、事故などの強い外傷によって網膜や硝子体が直接的に損傷した場合に眼球萎縮に繋がることや、先天的なものが原因の場合があります。
眼球そのものだけでなく、網膜や脈絡膜が萎縮して機能しなくなってしまう「網脈絡膜萎縮症」という病気もあります。
眼球が萎縮すると視力と視野の両方に障害が生じることが多くなります。
眼球萎縮の症状
眼球が萎縮してくると現れる代表的な症状として、両目の視力の著しい低下や、視野の欠損、両目の調節機能または運動機能への障害が挙げられます。
眼球萎縮が進むと治療をしたり視力矯正をしたりしても、視力がもとに戻らない場合も少なくありません。
また、視野も大きく欠損したりほとんど喪失してしまったりすることもあり、視力と視野に大きい障害を抱えることもあります。
調節機能や運動機能に障害をきたすと、ものを見るときにピントが合わなくなったり斜視になったりすることがあります。
眼球萎縮の予後
眼球萎縮が進行すると、眼球を摘出することもあります。
萎縮した眼球が正常な免疫抗体を攻撃してしまうことがあるためです。
眼球萎縮によって視力や眼球を失ったり、外観に支障をきたしてしまったりした場合は、義眼の使用をする選択肢もあります。
義眼とは人工的に制作された眼球のことをいい、眼窩や眼瞼の形状を正常な状態に保つことを目的として装着されます。
眼球が萎縮している場合には眼球の上にかぶせる形の義眼を、眼球が欠損している場合には半球状の義眼を使用することがあります。
手術によっては成功すれば目を摘出せず視力もごくわずかに残せる可能性もあるという研究結果もあります。
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
障害基礎年金 | 【対象】 ・初診日が国民年金加入期間の方 ・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方 ・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要 ・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 1,020,000円 2級 816,000円 その他、子の加算あり |
障害厚生年金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級 2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級 3級 報酬比例の年金額(最低保障612,000円) その他、1,2級は配偶者の加算あり |
障害手当金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 ・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること ・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと ・障害等級表に定める障害の状態であること 【支給額】参考:障害年金の金額 報酬比例の年金額×2(最低保障1,224,000円) |
眼球萎縮の障害年金認定基準
眼球萎縮の主な症状として、視力の低下、視野の欠損、調整機能等の障害が挙げられます。
これらの障害が併存する場合は、併合認定といって、それぞれの障害の程度を併せて判定を行います。
視力・視野・その他 の障害について、それぞれの基準と併合判定の方法をご確認ください。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 【視力】・両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの ・一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの 【視野】・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4 視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ I/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの |
2級 | 【視力】・両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの ・一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの 【視野】・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80 度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの ・身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 【視力】両眼の視力がそれぞれ0.1以下に減じたもの 【視野】・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下に減じたもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下に減じたもの |
障害手当金 | 【視力】・両眼の視力がそれぞれ0.6以下に減じたもの ・一眼の視力が0.1以下に減じたもの 【視野】・両眼による視野が2分の1以上欠損したもの ・ゴールドマン型視野計による測定の結果、I/2視標による両眼中心視野角度が56度以下に減じたもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が100点以下に減じたもの ・自動視野計による測定の結果、両眼中心視野視認点数が40点以下に減じたもの 【その他】・両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの ・身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの ・両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
視力障害について
「両眼の視力がそれぞれ◯△以下のもの」とは、視力の良い方の眼の視力が◯△以下のものをいいます。
「一眼の視力が◯△、他眼の視力が手動弁以下のもの」とは、視力の良い方の眼の視力が◯△かつ他方の眼の視力が手動弁以下のものをいいます。
視野障害について
「ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ◯△度以下に減じたもの」とは、ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ◯△度以下のものをいいます。
「ゴールドマン型視野計による測定の結果、I/2視標による両眼中心視野角度が◯△度以下に減じたもの」とは、ゴールドマン型視野計による測定の結果、I/2視標による両眼中心視野角度が◯△度以下のものをいいます。
「自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が◯△点以下に減じたもの」とは、自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が◯△点以下のものをいいます。
「自動視野計による測定の結果、両眼中心視野視認点数が◯△点以下に減じたもの」とは、自動視野計による測定の結果、両眼中心視野視認点数が◯△点以下のものをいいます。
「身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるものをいいます。
その他の障害について
「まぶたに著しい欠損を残すもの」とは、普通にまぶたを閉じた場合に角膜を完全に覆い得ない程度のものをいいます。
「調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの」とは、眼の調節機能及び輻輳機能の障害のため複視や眼精疲労による頭痛等が生じ、読書等が続けられない程度のものをいいます。
「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当する程度のものをいいます。
(ア) 「まぶたの運動障害」のうち、眼瞼痙攣等で常時両眼のまぶたに著しい運動障害を残すことで作業等が続けられない程度のもの
(イ) 「眼球の運動障害」のうち、麻痺性斜視で複視が強固のため片眼に眼帯をしないと生活ができないため、労働が制限される程度のもの
(ウ) 「瞳孔の障害」のうち、散瞳している状態で瞳孔の対光反射の著しい障害により羞明(まぶしさ)を訴え、労働に支障をきたす程度のもの
併合認定
各障害について併合判定参考表における該当番号を求めた後、併合認定表による併合番号を求め、障害の程度を認定します。
参考記事:障害がいくつかある場合:併合(加重)認定
眼球萎縮で障害年金を受給するためのポイント
眼の障害のうち、まぶたの痙攣や眼球の運動障害などは、労働にどの程度の制限があるかが問われます。
しかし、記入欄が非常に小さいこともあり、詳細まで記載しきれない場合もあります。
その際は、11欄や13欄に追記いただくなどの方法で、より詳しく記入いただくと良いでしょう。
まとめ
眼球萎縮で障害年金をもらう方法についてお伝えしました。
眼を患うと、年金事務所に通ったり診断書を訂正したりと、外出を伴う手続きは出来るだけ減らしたいですよね。
一回で受け付けてもらえるように、診断書の内容などは事前にしっかり確認してくださいね。