感音性難聴で障害年金をもらう方法
聴覚の障害
【もくじ】
耳の内耳にある蝸牛と有毛細胞と脳の聴神経の機能に何らかの問題があり、音をうまく感じ取れないために聞き取りにくい状態を感音性難聴と言います。
感音性難聴は障害年金の対象です
感音性難聴の原因
感音性難聴の原因として、先天性難聴と後天性難聴があります。
【先天性難聴】出生時に難聴が生じている状態
1.遺伝性によるもの
2.胎児期の発達異常
ワクチンが開発される以前は、妊娠中に母親が風疹にかかることで新生児が感音性難聴になるということがありました。
【後天性難聴】出生後に難聴が生じる状態
1.加齢によるもの
2.騒音が過度な状態にある環境で長時間いることで生じるもの
3.外傷により、内耳や脳がダメージを受けて生じるもの
4.疾患が原因になるもの(聴神経の腫瘍、メニエール病、髄膜炎等)
感音性難聴の症状
感音性難聴の症状は片方/両耳で自覚する症状が変わってきます。
【片方の耳が感音性難聴の場合】
1.どこから音が聞こえているのかが分かりづらい
2.騒がしい場所等で話を聴くのが難しい
【両方の耳が感音性難聴の場合】
1.音声情報が何なのか把握することができない
2.大きな声で話しかけられても聞こえない
補聴器や人工内耳の装用である程度の聴力を補うことはできます(個人差もあります)が、重度の場合は難しい場合もあります。
人工内耳は補聴器の装用による効果が不十分な場合に手術により取り付けることになります。
補聴器や人工内耳の装用による音声情報の取得についてはリハビリテーションで慣れていくことが大切です。
まずは、医療機関を受診し、聴力検査を受けましょう。
感音性難聴は障害年金の対象です
聴覚の障害による障害の程度は、純音による聴力レベル値と語音による聴力検査値により認定します。
また、先天的な聴覚障害により音声言語の表出ができない場合や、中途の聴覚障害によって発音に障害が生じた場合、平衡機能に障害が生じた場合などについは、聴力と併せて認定されます。
厚生労働省 e-ヘルスネット 難聴
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/sensory-organ/ys-02.html
Cochlear 感音難聴
https://www.cochlear.com/jp/home/understand/hearing-and-hl/what-is-hearing-loss-/types-of-hl/sensorineural-hearing-loss
一般社団法人 耳鼻咽喉科学会
http://www.jibika.or.jp/owned/hwel/hearingloss/
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
障害基礎年金 | 【対象】 ・初診日が国民年金加入期間の方 ・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方 ・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要 ・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 1,020,000円 2級 816,000円 その他、子の加算あり |
障害厚生年金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級 2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級 3級 報酬比例の年金額(最低保障612,000円) その他、1,2級は配偶者の加算あり |
障害手当金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 ・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること ・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと ・障害等級表に定める障害の状態であること 【支給額】参考:障害年金の金額 報酬比例の年金額×2(最低保障1,224,000円) |
感音性難聴の障害年金認定基準
感音性難聴といっても、その原因や症状はまちまちです。
聴力だけに障害が残る場合もあれば、言語や平衡機能の障害を併発する場合もあります。
障害が重複する場合は、併合認定といって、それぞれの障害の程度を併せて判定を行います。
聴覚・音声言語・平衡機能 の障害について、それぞれの基準と併合判定の方法をご確認ください。
聴覚の障害
令別表 | 障害の程度 | 障害の状態 | |
国年令別表 | 1級 | 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの | |
2級 | 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの | ||
身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの | |||
厚年令 | 別表第1 | 3級 | 両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの |
別表第2 | 障害手当金 | 一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの |
聴覚の障害による障害の程度は、純音による聴力レベル値(純音聴力レベル値)及び語音による聴力検査値(語音明瞭度)により認定します。
「身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が 著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは?
両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が30%以下のものをいいます。
「両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの」とは?
ア 両耳の平均純音聴力レベル値が70デシベル以上のもの
イ 両耳の平均純音聴力レベル値が50デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が50%以下のもの
をいいます。
「一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの」とは?
一耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上のものをいいます。
音声又は言語機能の障害
令別表 | 障害の程度 | 障害の状態 | |
国年令別表 | 2級 | 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの | |
厚年令 | 別表第1 | 3級 | 言語の機能に相当程度の障害を残すもの |
別表第2 | 障害手当金 | 言語の機能に障害を残すもの |
先天的な聴覚障害により音声言語の表出ができない場合や、中途の聴覚障害によって発音に障害が生じた場合に、この基準を適用します。
「音声又は言語機能に著しい障害を有するもの」とは?
発音に関わる機能を喪失するか、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方がほとんどできないため、日常会話が誰とも成立しないものをいいます。
「言語の機能に相当程度の障害を残すもの」とは?
話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に多くの制限があるため、日常会話が、互いに内容を推論し たり、たずねたり、見当をつけることなどで部分的に成り立つものをいいます。
「言語の機能に障害を残すもの」とは?
話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に一定の制限があるものの、日常会話が、互いに確認することなどで、ある程度成り立つものをいいます。
平衡機能の障害
令別表 | 障害の程度 | 障害の状態 | |
国年令別表 | 2級 | 平衡機能に著しい障害を有するもの | |
厚年令 | 別表第1 | 3級 | 神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
別表第2 | 障害手当金 | 神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
聴覚の障害のうち、特に内耳の傷病による障害と平衡機能障害とは、併存することがあります。
「平衡機能に著しい障害を有するもの」とは?
四肢体幹に器質的異常がない場合に、 閉眼で起立・立位保持が不能又は開眼で直線を歩行中に10 メートル以内に転倒ある いは著しくよろめいて歩行を中断せざるを得ない程度のものをいいます。
中等度の平衡機能の障害のために、労働能力が明らかに半減しているものは、3級と認定します。
中等度の平衡機能の障害とは、閉眼で起立・立位保持が不安定で、開眼で直線を10 メートル歩いたとき、多少転倒しそうになったりよろめいたりするがどうにか歩き通 す程度のものをいいます。
めまいの自覚症状が強く、他覚所見として眼振その他平衡機能検査の結果に明らか な異常所見が認められ、かつ、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを 必要とする程度のものは、併合判定参考表の8号と認定します。
併合認定
各障害について併合判定参考表における該当番号を求めた後、併合認定表による併合番号を求め、障害の程度を認定します。
参考記事:障害がいくつかある場合:併合(加重)認定
感音性難聴で障害年金を受給するためのポイント
感音性難聴の症状は、聴力のみに障害が残るとは限りません。
先に述べた通り、音声や平衡機能の障害も併発している場合は、それらの症状についても診断書に記載する必要があります。
まとめ
感音性難聴で障害年金をもらう方法についてお伝えしました。
「難聴=聴覚の障害」と思われがちですが、その発病原因によっては、音声や平衡機能にも症状が現れることもあります。
ご自身の症状を総合的に判断し、正確な診断書を提出するようにしてくださいね。