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じん肺で障害年金をもらう方法

「病院でじん肺と診断されたんだけど、障害年金はもらえるの?」

「じん肺で障害年金を受給するときのポイントは?」

ご自身がじん肺にかかってしまったときはもちろんのこと、ご家族や身内の方がかかってしまった時にこのような疑問を持つことは当然のことでしょう。

そこで今回は、じん肺についての概要や、障害年金の受給ポイントなどを紹介していきたいと思います。

いざという時に役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

※この記事は2020年9月現在の情報を元に作成しています。

じん肺について

じん肺は、土ぼこりや鉱物製の粉じんなどを吸い込む環境に長期間いることでかかるリスクが高まる肺の病気のことです。

粉じんを吸い込んだ量に関係しますが、症状が出るまで長い期間かかることもあります。

じん肺の症状には、せき、たん、息切れなどがあり、体重の減少や全身のけん怠感などを伴います。

合併症として、呼吸困難や動悸などが起こることがあり、肺がんや結核にもなりやすいとされています。

また障害年金を受給する際には「呼吸器疾患」の分類で判定されますので、覚えておいてくださいね。

  

障害年金について

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。

障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。

障害基礎年金【対象】
・初診日が国民年金加入期間の方
・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方
・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く
【要件】参考:クリアすべき要件
・保険料の納付要件を満たしていること
・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要
・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること
【支給額】参考:障害年金の金額
1級 1,020,000円
2級 816,000円
その他、子の加算あり
障害厚生年金【対象】
・初診日が厚生年金保険加入期間の方
【要件】参考:クリアすべき要件
・保険料の納付要件を満たしていること
・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること
【支給額】参考:障害年金の金額
1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級
2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級
3級 報酬比例の年金額(最低保障612,000円)
その他、1,2級は配偶者の加算あり
障害手当金【対象】
・初診日が厚生年金保険加入期間の方
・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く
【要件】参考:クリアすべき要件
・保険料の納付要件を満たしていること
・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること
・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと
・障害等級表に定める障害の状態であること
【支給額】参考:障害年金の金額
報酬比例の年金額×2(最低保障1,224,000円)

     

じん肺の障害年金認定基準

じん肺は呼吸器疾患に分類されます。

呼吸器疾患で障害年金を受給できる認定条件は以下の通りです。

令別表障害の程度障害の状態
国年令別表1級身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする症状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能たらしめる程度のもの。
国年令別表2級身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする症状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。
厚年令別表第13級身体の機能に労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

  

じん肺の障害の程度は、症状判定及び機能判定により認定されます。

症状による障害の程度は、胸部X線所見、呼吸不全の程度、合併症の有無及び程度、具体的な日常生活等により総合的に認定されます。

症状判定によって各等級に相当すると認められるものを一部例示すると、次のとおりです。

障害の程度障害の状態
1級胸部X線所見がじん肺法の分類の第4型であり、大陰影の大きさが1側の肺野の1/3以上のもので、かつ、長期にわたる高度の安静と常時の介護を必要とするもの
2級胸部X線所見がじん肺法の分類の第4型であり、大陰影の大きさか1側の肺野の1/3以上のもので、かつ、日常生活が著しい制限をうけるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とするもの
3級胸部X線所見がじん肺法の分類の第3型のもので、かつ、労働が制限をうけるか又は労働に制限を加えることを必要とするもの

  

じん肺X線写真像の(じん肺法)分類
第1型・・・両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が少数あり、かつ、じん肺による大陰影がないと認められるもの
第2型・・・両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が多数あり、かつ、じん肺による大陰影がないと認められるもの
第3型・・・両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が極めて多数あり、かつ、じん肺による大陰影がないと認められるもの
第4型・・・じん肺による大陰影があると認められるもの

  

じん肺の機能判定による障害の程度は、呼吸不全の認定要領によって認定されます。

A表

区分検査項目単位軽度異常中度異常高度異常
1動脈血O2分圧Torr70~6160~5655以下
2動脈血CO2分圧Torr46~5051~5960以上
※症状判定に際しては、動脈血02分圧値を重視する

B表

検査項目単位軽度異常中度異常高度異常
予測肺活量1秒率40~3130~2120以下

  

呼吸不全による障害の程度を一般状態の区分表で表すと次のとおりです。

一般状態区分表

区分一般状態
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など
歩行や身の回りのことはできるが、時にか少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身の周りのある程度のことはできるが、しばしば解除が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの。

  

呼吸器不全による各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりです。

障害の程度障害の状態
1級前記のA表及びB表の検査成績が高度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの
2級前記のA表及びB表の検査成績が中度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの
3級前記のA表及びB表の検査成績が軽度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの

引用元:https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20140604.files/3-1-10-1.pdf

  

つまり、動脈血や肺活量が軽度を示し、軽い家事ならできるといった症状であっても、障害年金を受給できる可能性はあります。

またあくまでもここで上げた認定基準は参考程度にとどめて置いてください。

なぜならこれらの症状に当てはまっていなくても、例外的に障害年金を受給したケースもあるからです。

障害年金を受給できるかどうか不安な方は、かかりつけの医師と相談しましょう。

障害のケースごとに障害年金が受給できるか把握しているため、ご自身に当てはまるか教えてもらえることが多いです。

  

じん肺で障害年金を受給するポイント

障害年金を受給するために、じん肺は呼吸器疾患の診断書が必要です。

診断書作成はかかりつけの病院の担当の医師に書いてもらうことになる方が大半かと思われます。

しかし診断書を作成する医師との連携が取れていないと、誤った記載をし障害年金を受給できない可能性も出てきます。

特に重要なポイントは以下の5つです。

  

1.現在までどのような治療経過をたどってきたかを詳しく記載

2.共通項目欄は必ず記載

3.既存の障害や既往症がある場合は必ず記載

4.胸部X線フィルムを必ず添付(CDなどで保管されている場合、画像を印刷して添付)

5.日常活動能力や労働能力があるかを必ず記載

  

障害年金を受給できるか否かの大切なポイントですので、漏れのないように注意してくださいね。

また、担当の医師とは日ごろからしっかりとコミュニケーションをとっておきましょう。

  

じん肺でも障害年金の受給はできる

ここまで、じん肺についての概要と、障害年金を受給するポイントなどを紹介してきました。

じん肺に不本意にかかってしまったご本人や、周囲の方は今後の生活に憤りを感じているかもしれません。

障害年金はそのような方々にも、安心して生活ができるようにと法律で定められている国の制度です。

きちんと手順を追って申請をすれば、障害年金を受給できる可能性が高まります。

障害年金を受給することができれば、将来の不安や心配は軽減されます。

ぜひこの記事の内容を参考にじん肺での障害年金受給を検討してみてくださいね。

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