冠状動脈硬化症で障害年金をもらう方法
心疾患による障害
【もくじ】
私たちの全身に血液を送る役割を果たしている心臓は、ポンプのように規則正しく動いています。
その大切な心臓が動くための酸素やエネルギーを「冠動脈」が送っています。
冠状動脈とも言います。
なくてはならない冠動脈ですが、内側にコレステロールがたまり、血管が狭くなったり塞がったりすることがあります。
これが「冠状動脈硬化症」です。
環状動脈硬化症になると、心臓に負担がかかり、狭心症や心筋梗塞を引き起こす可能性があります。
冠状動脈硬化症は障害年金の対象です
冠状動脈硬化症の原因
冠状動脈硬化症の原因となる一番の要因は、「生活習慣病」です。
以前は成人病と呼ばれ寿命や遺伝が関係していると言われていました。
しかし、食生活や飲酒、喫煙、運動など長年の生活習慣が引き起こすと考えられるようになりました。
濃いめの味付け、野菜不足、コンビニやファストフードの食べ過ぎなどの乱れた食生活や全く歩くことがない、家でゴロゴロしていることが多いなどの運動不足、喫煙や飲酒のしすぎなど当てはまることが多い人もいるのではないでしょうか。
生活習慣病は、症状が出るまで時間を有するため知らない間にどんどんと悪化していきます。
自分は大丈夫とは思わず、今一度生活習慣を見直してみましょう。
冠状動脈硬化症の症状
冠状動脈硬化症になると、心臓に酸素や栄養を含む血液が送られなくなり、狭心症や心筋梗塞を引き起こす可能性があります。
狭心症を引き起こす前には胸に痛みを感じたり、圧迫感を感じたりします。
階段を登ったり重いものを持ったりする心臓に負担がかかるときに症状がよく現れます。
人によっては、背中や腕の内側、首に痛みが現れることも。
しかし、しばらくすると痛みが治ることも多いのでやり過ごされることもあり、注意が必要です。
狭心症が進めば、心筋梗塞を引き起こします。
そのため胸に痛みを感じたらやり過ごさず、一度受診しましょう。
心筋梗塞は、激しく胸が痛み、発症から1時間以内に亡くなることもあるので救急車を呼ぶなどしてすぐ受診する必要があります。
冠状動脈硬化症の予後
冠状動脈硬化症は、薬物療法によって狭心症や心筋梗塞にならないように予防していきます。
動脈硬化により症状が現れればそれに沿った外科的療法も行われます。
冠状動脈硬化症は、自覚症状で気付くときにはすでに悪化している状態なので日々の予防が大切になります。
https://kotobank.jp/word/冠状動脈硬化症-4894
https://www.sbs-smc.or.jp/special/smc2016/index.html
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-082.html
https://www.medtronic.com/jp-ja/your-health/conditions/coronary-artery-disease-jp.html
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
障害基礎年金 | 【対象】 ・初診日が国民年金加入期間の方 ・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方 ・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要 ・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 1,020,000円 2級 816,000円 その他、子の加算あり |
障害厚生年金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級 2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級 3級 報酬比例の年金額(最低保障612,000円) その他、1,2級は配偶者の加算あり |
障害手当金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 ・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること ・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと ・障害等級表に定める障害の状態であること 【支給額】参考:障害年金の金額 報酬比例の年金額×2(最低保障1,224,000円) |
冠状動脈硬化症の障害年金認定基準
心疾患による障害の程度は、呼吸困難、心悸亢進、尿量減少、夜間多尿、チアノーゼ、浮腫等の臨床症状、X線、心電図等の検査成績、一般状態、治療及び病状の経過等により、総合的に認定するものとします。
当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定します。
虚血性心疾患による障害
前述したように、冠状動脈硬化症は、狭心症や心筋梗塞を引き起すリスクが高いです。
このため、心疾患による障害のうち、虚血性心疾患による障害の認定基準を参照します。
冠動脈疾患は、主要冠動脈に少なくとも1ヶ所の有意狭窄をもつ、あるいは、冠攣縮が証明されたものを言い、冠動脈造影が施行されていなくとも心電図、心エコー図、核医学検査等で明らかに冠動脈疾患と考えられるものも含みます。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 病状(障害)が重篤で安静時においても、常時心不全あるいは狭心症状を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの |
2級 | 異常検査所見が2つ以上、かつ、軽労作で心不全あるいは狭心症などの症状をあらわし、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの |
3級 | 異常検査所見が1つ以上、かつ、心不全あるいは狭心症などの症状が1つ以上あるもので、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの |
◇異常検査所見
区分 | 異常検査所見 |
A | 安静時の心電図において、0.2mV以上のSTの低下もしくは0.5mV以上の深い陰性T波(aVR誘導を除く。)の所見のあるもの |
B | 負荷心電図(6Mets未満相当)等で明らかな心筋虚血所見があるもの |
C | 胸部X線上で心胸郭係数60%以上又は明らかな肺静脈性うっ血所見や間質性肺水腫のあるもの |
D | 心エコー図で中等度以上の左室肥大と心拡大、弁膜症、収縮能の低下、拡張能の制限、先天性異常のあるもの |
E | 心電図で、重症な頻脈性又は徐脈性不整脈所見のあるもの |
F | 左室駆出率(EF)40%以下のもの |
G | BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が200pg/ml相当を超えるもの |
H | 重症冠動脈狭窄病変で左主幹部に50%以上の狭窄、あるいは、3本の主要冠動脈に75%以上の狭窄を認めるもの ※すでに冠動脈血行再建が完了している場合を除く。 |
I | 心電図で陳旧性心筋梗塞所見があり、かつ、今日まで狭心症状を有するもの |
◇一般状態区分表
区分 | 一般状態 |
ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など |
ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
冠状動脈硬化症で障害年金を受給するためのポイント
心疾患の主要症状としては、胸痛、動悸、呼吸困難、失神等の自覚症状、浮腫、チアノーゼ等の他覚所見があります。
他覚所見は医師の診察により得られた客観的症状なので、自覚症状と連動した内容になっているか、ご確認ください。