狭心症で障害年金をもらう方法
心疾患による障害
【もくじ】
狭心症とは、冠動脈が狭くなってしまい、心臓へ必要な栄養や酸素が送れなくなる疾患です。
冠動脈は、心臓を動かすための栄養や酸素を送る重要な血管です。冠状動脈とも呼ばれ、右冠状動脈と左冠状動脈があり、左冠状動脈は前下行枝と回旋枝と3本に分かれています。
この冠動脈が詰まってしまうほど症状は重くなります。
狭心症は心筋梗塞とよく似ていますが、狭心症が冠動脈が狭くなるのに対し、心筋梗塞は完全に塞がった状態を指します。
狭心症から心筋梗塞に悪化することがあります。
狭心症は障害年金の対象です
狭心症の原因
狭心症の原因の多くは、「動脈硬化」が挙げられます。
動脈硬化は、内側にコレステロールが蓄積し、血管が狭くなったり、血栓・潰瘍を作ったりします。
この動脈硬化は、老化と共に進行するので誰しも起こる可能性があります。
動脈硬化にもいくつか種類がありますが、冠動脈で起こるのが「アテローム硬化」です。
コレステロールなどが粥状、まるでおかゆのようになり動脈の内側にたまります。
そしてアテロームができることで血管が狭まってしまうのです。
動脈硬化だけで症状を起こすことはなく、狭心症などに悪化するまで気づかないことがほとんどです。
この動脈硬化の原因はというと、老化、肥満、喫煙、飲酒、ストレスなどが挙げられます。
老化は防ぐことはできませんが、食生活や運動、禁煙、ストレス対策など自分次第で予防できるものでもあります。
特に、喫煙や肥満は大きな問題で、狭心症だけでなく他の病気にも影響するので早くから気をつけて過ごしていくのが賢明でしょう。
狭心症の症状
狭心症は、胸が圧迫され、痛みを感じます。
時間は数分から10分程度で、安静にしていれば治ります。
人によっては、左肩やあごなどに痛みを感じることも。
症状の発症の仕方は大きくふたつに分けられます。
ひとつめは、「労作狭心症」。
階段を登ったり、重い荷物を持ったり運動をしたときに起こります
ふたつめは、「安静狭心症」です。
動いていなくても冠動脈が痙攣を起こし酸素が不足することで起こります。
深夜から午前中にかけてよく起こります。
そして病状にもタイプがあります。
比較的安定している「安定狭心症」と危険な状態である「不安定狭心症」に分けられます。
不安定狭心症はいつ心筋梗塞が起きてもおかしくない状況なので特に注意が必要です。
狭心症の予後
狭心症の治療は、薬物療法、内科的・外科的手術が挙げられます。
発作を予防したり、鎮めたりする薬が処方されるのですが、薬だけでは予後が良いとは言えず、手術が行われることがあります。
冠動脈にカテーテルという管を挿入するカテーテルインターベンションや動脈硬化が起こっている部分にバイパスを設けるバイパス手術などが行われます。
狭心症はこれらの治療ができますが、狭心症の原因となる動脈硬化はなかなか治療することができません。
私たちの生活習慣が大きく影響してくるので、乱れた食生活や運動不足、肥満や喫煙など思い当たることがある人はより良い生活を心がけましょう。
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/06-心臓と血管の病気/冠動脈疾患/狭心症
https://newheart.jp/glossary/detail/cardiovascular_medicine_004.php
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/blood/pamph21.html
https://www.japha.jp/doc/byoki/008.pdf
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
障害基礎年金 | 【対象】 ・初診日が国民年金加入期間の方 ・初診日が、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方 ・老齢基礎年金を繰り上げて受給している方は除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、 納付要件不要 ・障害の状態が、障害等級表の1級または2級に該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 1,020,000円 2級 816,000円 その他、子の加算あり |
障害厚生年金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・障害の状態が、障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること 【支給額】参考:障害年金の金額 1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級 2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級 3級 報酬比例の年金額(最低保障612,000円) その他、1,2級は配偶者の加算あり |
障害手当金 | 【対象】 ・初診日が厚生年金保険加入期間の方 ・国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方を除く 【要件】参考:クリアすべき要件 ・保険料の納付要件を満たしていること ・初診日から5年以内に治って(症状が固定して)いること ・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと ・障害等級表に定める障害の状態であること 【支給額】参考:障害年金の金額 報酬比例の年金額×2(最低保障1,224,000円) |
狭心症の障害年金認定基準
心疾患による障害の程度は、呼吸困難、心悸亢進、尿量減少、夜間多尿、チアノーゼ、浮腫等の臨床症状、X線、心電図等の検査成績、一般状態、治療及び病状の経過等により、総合的に認定するものとします。
心疾患による障害は、弁疾患、心筋疾患、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)、難治性不整脈、大動脈疾患、先天性心疾患に区分されます。
当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定します。
虚血性心疾患による障害
狭心症は、心疾患による障害のうち、虚血性心疾患による障害の認定基準を参照します。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 病状(障害)が重篤で安静時においても、常時心不全あるいは狭心症状を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの |
2級 | 異常検査所見が2つ以上、かつ、軽労作で心不全あるいは狭心症などの症状をあらわし、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの |
3級 | 異常検査所見が1つ以上、かつ、心不全あるいは狭心症などの症状が1つ以上あるもので、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの |
◇異常検査所見
区分 | 異常検査所見 |
A | 安静時の心電図において、0.2mV以上のSTの低下もしくは0.5mV以上の深い陰性T波(aVR誘導を除く。)の所見のあるもの |
B | 負荷心電図(6Mets未満相当)等で明らかな心筋虚血所見があるもの |
C | 胸部X線上で心胸郭係数60%以上又は明らかな肺静脈性うっ血所見や間質性肺水腫のあるもの |
D | 心エコー図で中等度以上の左室肥大と心拡大、弁膜症、収縮能の低下、拡張能の制限、先天性異常のあるもの |
E | 心電図で、重症な頻脈性又は徐脈性不整脈所見のあるもの |
F | 左室駆出率(EF)40%以下のもの |
G | BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が200pg/ml相当を超えるもの |
H | 重症冠動脈狭窄病変で左主幹部に50%以上の狭窄、あるいは、3本の主要冠動脈に75%以上の狭窄を認めるもの ※すでに冠動脈血行再建が完了している場合を除く。 |
I | 心電図で陳旧性心筋梗塞所見があり、かつ、今日まで狭心症状を有するもの |
◇一般状態区分表
区分 | 一般状態 |
ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など |
ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
狭心症で障害年金を受給するためのポイント
心疾患の主要症状としては、胸痛、動悸、呼吸困難、失神等の自覚症状、浮腫、チアノーゼ等の他覚所見があります。
他覚所見は医師の診察により得られた客観的症状なので、自覚症状と連動した内容になっているか、ご確認ください。